MED プレゼン2016プレゼンター
大浦紀彦
杏林大学 医学部 形成外科
「切断阻止! Act Against Amputation!」
「糖尿病で足を失う」ということを聞いたことがあるでしょうか。そんな人は見たことないようね。と都市伝説のように思っていませんか。
実は一般の人に知られていない「重症下肢虚血」という命を脅かす病態があるのです。
闘病することなく亡くなることも多いのでこれらの患者さんに巡り合うことが少ないのですが、実際には糖尿病の増加に伴ってこの疾患も増加しています。
切断される患者さんも増えているのです。
この疾患の治療は一つの診療科だけでは不可能で、多くの診療科や他の施設に呼びかけて協力体制をつくらないとできません。
さらにこの疾患の背景には、医療だけではなく社会的な問題も多くあることもわかってきました。
患者の医療従事者も行政(国)も認識していない状態では、学会というオタク集団だけの活動では体制づくりも進みません。
そこで啓発のためHP、Act AgainstAmputationを立ち上げました。
人間の尊厳である歩くこと元気に長生きすること、足について是非いっしょに考えてみませんか。
浅川澄一
ジャーナリスト
「地域包括ケア」と矛盾する「医療フリーアクセス」
医療・介護の2025年到達目標として「地域包括ケア」が国を挙げて提唱されている。
住まい、生活、医療、介護などを住み慣れた地域の中で十分に満たされれば、高齢者や社会の満足度は高まるという内容だ。
とりわけ各サービス間の連携が強調されている。
ところが、医療が小・中学校区域内で他サービスと連携しながら完結されるか疑問だ。
患者が遠くの医療機関に自由にアクセスできる「フリーアクセス」制度ではとても難しい。
複数の医療機関に関わる高齢者が多数派だ。
これでは介護や生活サービスの事業者も地域の医療機関との連携が取りにくい。
加えて、費用面からの非効率だ。
経済協力開発機構(OECD)は、国内総生産(GDP)に占める医療費が 35加盟国中で3番目の高額だと発表した。
介護保険関連のサービスを加えたためと言われる。
医療関係者はこれまで「日本の医療は極めて効率的」と主張し、抜本的な医療改革を拒んできた。
その足元が揺らいできた。
平井みどり
神戸大学医学部附属病院 教授・薬剤部長
「不要な薬をへらすには」
薬剤の処方は患者の状態を改善するためのものであるが、高齢化に伴って生じたと思われる症状が、実は薬によって引き起こされたものである例は稀ではない。
年をとったから手が震えたり、歩きづらくなるのは仕方ない、と思っていたら薬をやめたとたんに綺麗に症状がなくなった、長年使っていた薬を半分にした途端に問題行動がすっかり消失、という話はよく聞く。
医療安全面、医療経済面、何より患者のQOL向上を目指し、処方の適正化を考える必要がある。
我々の病院では、入院中に高齢者の薬を見直し、整理を進めているが、折角入院中に整理しても、退院後に地域の医療機関に戻ると、元の木阿弥になってしまうこともしばしばである。
昨年来、高齢者の「残薬」の問題がクローズアップされており、飲みきれない薬による問題点ばかりが強調されている感があり、むやみに薬を減らすことは厳に慎むべきではあるが、病院と地域のコミュニケーションの重要性を痛感する。
大場 大
東京オンコロジークリニック 代表
「思考停止からの脱却を目指して。
「がん」という病気は人生を一変させてしまう深刻な病です。
そして、誰しもが生涯の中で2人に1人の割合で「がん」になるリスクを抱えています。
それがひとたび現実のものとして訪れてしまった場合、望むならば治りたいと願うのは当然の心情です。
しかし場合によっては治すことが難しい状況で発見されることもあるでしょう。
「がん」という病気は不確かなことが多く、最善を尽くしても必ずしも期待通りの結果に至らないことが少なくありません。
絶対確実な治療やゼロリスクなどもありません。
一方で、いつまでたっても医学や医療をしっかり理解できないメディアの問題も然り、思考停止から脱却できない病理を背景として健全ながん医療をイタズラに妨げる厄介な思考破綻がこの国にはいたるところに見え隠れしています。
だからこそ、巷にはびこる “エセ医学” に対して批判的吟味ができる健全な思考が必要だ、とあらためて提言をさせていただきたいと思います。
黒岩かをる
(一社)日本医療面接訓練評価センター:JaMITAC® 代表理事
「医療者も患者・家族も「ありがとう」と、こころ通い合う医療を次世代へ」
★次世代を拓く社会医療人のみなさんへ応援メッセージ★
「総合的医療面接能力」は、皆さんが培っていく知識と技術、経験を活かして、自ら納得のいく質の高い結果を生み出すための「必要不可欠な臨床能力」です。
患者さん・ご家族の医療への満足度・生命予後・QOL等、人生に大きな影響を与えます。
皆さんの資質や経験に頼るのではなく、一定のトレーニングと学習によって上達し、持続します。
医療面接には「形 も こころ」も必要です。
形とこころが発達段階に応じて絡み合って磨かれていきます。
皆さんには目の前の大変さに流されたり、現実の厳しさに押しつぶされたりすることなく、それぞれの目標を設定し、「Teaching is Learning」を実践しながら「形にこころを注ぎ込む」ことを日々積み重ね、生涯に亘ってしっかり学び続けてください。
自分の思い描く10年後の姿に向かって、夢と誇りをもって一歩一歩着実な歩みを進めていかれますようエールを送る気持ちで支援し続けます。
清水広久
埼玉成恵会病院外科部長 社団法人ダイアログ理事
「僕らは、ただ出逢い・話し・聴き・感じ・創る」~ありえないつながりが導く未来~
「医療の風通しをよくしたい。」これが最初の憧憬でした。
医療従事者とか、市民とか関係なく、皆この閉塞感ある世の中を何とかしようと必死に考え、生きている。
しかし、お互いの立場から歩み寄って開かれる話合いも、どこか「各々の立場の仮面(判断や評価)を被ったままの議論している。」、「どこかでエネルギーが分断、滞っている。」そんな印象でした。
そんな中、想いに引き寄せられるようにマルチステークホルダー・ダイアログに可能性を見出した仲間が集まり、場を創りはじめました。
この手法は、決して新しいものでは、ありません。その昔、ネイティブ・アメリカンがそうであったように、若者も首長も肩書きを一旦置き、車座に座り、自分達の未来について話合い、そこから未来を出現させていった。
しかし、時代を超え、いつしかそこには意見しか存在しない、人がいない話合いの場になっていった。そう思います。
「僕らは、ただ出逢い・話し・聴き・感じ・創る」それだけが、唯一かつ最大の可能性の光であると感じます。今日は、皆さんとその可能性を紡ぎたいと思います。
塩崎 良子
株式会社 TOKIMEKU JAPAN
「Say Yes To Life 」
そんなメッセージが世界中に広がるビジネスを展開しようと7月に
栗原志功
株式会社あなたの幸せが私の幸せ(以下略)社長兼CHO(Chief Happiness Officer)
「どんな人でも幸せになれる! ~幸福学が切り開く未来~」
人は皆、幸せになる為に生まれてきた。しかし、どうだい。世界が羨むほど経済発展した日本の幸福度は、悲しいほどに低い。これを何とかしたい!
そこで、経営の傍ら世界70カ国を訪問し大学院で研究を始めた。
なぜ幸せを感じられないかというと、幻想を追いかけているからだ。
幸せには長続きする幸せと、長続きしない幸せがある。金、物、地位での幸せは長続きしない。これを追うのはナンセンス。そこで、長続きする幸せについての全国調査を実施すると、幸せは4つの因子で出来ていることが分かった!4つの因子の一つ一つを上げて行けば人は幸せになれるのである。
幸せは伝染することも分かっている。会ったことのない人にまで伝染していく。日本の幸せに限らず、世界中を幸せにできるのだ。
今までにありそうでなかった「幸福学」。あらゆるジャンルで応用が可能で、実際に教育、経営、医療の分野にも応用が始まっている。明るく幸せな未来は幸福学が切り開く。
石井富美
よどきり医療と介護のまちづくり株式会社 取締役管理部長
「ヘルスリテラシー向上への取り組み みなさん、まちへ出ましょう!~」
保健医療2035提言書の中でも国民に強く求められている「自律」。自分の健康に興味を持ち、受ける医療サービスについて考え、自己決定していくためにはヘルスリテラシーが必要です。
正しい知識と自分の健康への意識、病気を持ちながらでも自宅で生活していく環境づくりなど、「知られていない大切な情報」を解りやすく地域の方々に伝えることが私たちヘルスケア分野の専門職の役割です。
これからは具合が悪くなった方々を病院で待っているだけではありません。
医師も看護師も薬剤師も、ヘルスケア専門職の皆さんが「まち」に出て、直接地域の方々とふれあい、ヘルスリテラシー向上の機会を持っていきましょう。
現在大阪市東淀川区で展開しているよどまちステーションでは、まちの保健室、まちカフェ、などで看護師さんたちが様々なテーマで地域の方々と交流し、健康意識やヘルスリテラシー向上のための働きかけを行っています。
ヘルスケア分野の専門職の方々の新しい活躍の場を創出していく活動をご紹介させていただきます。
鎌田 剛
東北公益文科大学 准教授 鎌田剛
「社会連携 ― 医療連携,多職種連携のその先」
地域包括ケアシステムにおいては、入退院を調整する医療連携、在宅での療養・介護を支援する多職種連携に加え、住民・企業・NPO等との連携も求められています。私はこの異分野・異業種との連携を「社会連携」と呼び、研究しています。たとえば倉敷の“わが街健康プロジェクト”では、地域医療の課題を医療者と一緒に考える市民サポーターの育成に力をいれています。新潟では医療者グループと新聞社が手を組んで健康情報の発信を始めました。山形には医療者と異業種が交流するコワーキングスペースが設置されています。
これらの事例においては、住民の意識啓発や生活支援・介護予防等サービスへの異業種の参画が意図され、様々な立場の人が、同じ目線で膝を突き合わせる関係づくりに挑戦しています。医療・介護の境界を越え、地域との“対等で近い関係”を結ぶ「社会連携」こそが、地域が一体となって包括ケア時代を迎えるための要件であると考えます。
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