先週末、東京・岩波ホールで先行公開された
映画『こどもしょくどう』を観てきました。
まず、子ども食堂について解説しておきます。
Wikipediaによれば、
と記載されています。
地域で食事を提供する活動は、昭和後期にも見られていたそうですが、
「子ども食堂」という名前で活動したのは、
東京都大田区東矢口の「気まぐれ八百屋だんだん こども食堂」が第1号だそうです。
店主である近藤博子さんは、歯科衛生士であると共に
地域の居場所作りにも携わっており、
仕事を通じて食事の偏りがちな子どもたちの存在を知り、
子ども食堂を開店したのだそうです。
「子どもが1人でも入れると同時に、大人も入っていい場所」との意味で
「こども食堂」と名付けられました。
<開設までの経緯>
- 2008年 無農薬野菜を中心に扱う八百屋の開業
- 2009年 学習塾講師を招いて子供の勉強を支援する「ワンコイン寺子屋」の併設
- 2010年 近隣小学校の副校長から「一人親で、給食以外の食事はバナナ一本という子供がいる」と聞いて心を傷め、ボランティア活動の仲間らと検討・準備を開始
- 2011年(平成23年)8月 現在の「子ども食堂」を開設
2012年から同様の活動を始めたWAKUWAKUが、
東京豊島区要町に「要町あさやけ子ども食堂」をオープンしました。
その活動が2014年4月にNHKの情報番組『あさイチ』で紹介されたことを機に、
テレビ、新聞、雑誌など多くのマスメディアから注目を集めるようになり、
子ども食堂が日本全国的に広がるきっかけになりました。
今年(2019)、ファミリーマートがイートインスペースを有する約2000店で
「ファミマこども食堂」を3月から展開すると発表しました。
従来のコミュニティに根ざした
温かい食事と賑やかな会話がある伝統を引き継ぎながら
子とも食堂の輪が広がって欲しいと思います。
また、全国各地に広がっている子ども食堂は、
子どもだけではなく、孤食となっている高齢者を招き入れ
「みんなの食堂」になっていくことが多いと聞きました。
素晴らしい展開だと思います。
さて、本題の映画に言及しましょう。
主役の2人の子役が何より素晴らしかったです。
特に、木下ミチル役 鈴木梨央さん
妹を支えるため、寂しさ、悲しさを必死にこらえて
乗り越えていく姿が印象的でした。
私は底抜けの楽観主義者ではありますが、
同時に「人生には悲しみも伴う」ことを知っています。
その「生きる悲しみ」を彼女は見事に表現していたと思います。
大河ドラマ『八重の桜』の時から注目していました。
素晴らしい女優になっていくのだと思います。
今後が楽しみです。
食堂のおかみさん役の常盤貴子さんも味のある演技で光っていました。
主題歌も良かったです。
作詞は、俵 万智さんです。
食べることは 命、 食べることは つながり
食べることは 命、 食べることは ぬくもり
食べることは、命 ♫
ストーリーは、子ども食堂の舞台となるあづま食堂の一家と
育児放棄の母子家庭のタカシ君に夕食を提供するところから始まります。
その後、もっと悲惨な状況の姉妹が登場します。
彼女らは河原で車中生活をし、食べる物もなく困窮していました。
そうした極端に悲惨な状況が現れる時、
周りの人間には大きな変化がそれぞれにもたらされます。
大人にも、子どもにも、です。
当事者としてかかわることを学んでいくのです。
最近、つくづく思うのですが、
世の中を良きものに変えていくのは、人の心です。
昔、物理学者に憧れていた時には、
所謂、T.O.E.(Theory of Everything)を発見できれば
理想世界が実現できると信じていました。
しかしながら、物理科学の法則は厳格であり、
そこに爆発的な展開はありません。
(そのため、このリアル世界の安定も保たれるのです)
人の心には、ある意味 限界がありません。
感性豊かな魂であればある程、
自身が大きく感じ入って、
そして、とてつもない変化を社会に及ぼせるのです。
生命力に満ちた変化です。
物理学の世界は、機械論パラダイムです。
機械論パラダイムから生命論パラダイムへの転換が始まっている今、
感じ入る心が大切なのだと思います。
そんな心の変化を確認させてくれる作品です。
ご自身で感じてください。
岩波ホールは、4月5日までですが、
その後、全国各地で公開されるようです。
質の高い仕上がりですので
全国各地で公開されることを祈っています。
P.S.『子ども食堂にて』という映画も昨年公開されています。
2019年3月27日