09.私たちはどこへ行こうとしているのか 小熊英二 時評集

社会医療人の星

小熊英二時評集が出版されました。

私たちはどこへ行こうとしているのか 小熊英二時評集

私たちはどこへ行こうとしているのか 小熊英二時評集 毎日新聞出版(2016/6/24)

以前、慶應義塾大学の教授をされている小熊先生に取材をさせていただきました。

驚いたことに、その「ツ・ナ・ガ・ル」での取材記事を書籍に掲載いただきました。

『GQジャパン』『群像』などの記事と同一に列記されています(何とも誇らしい…)。

私たちはどこへ行こうとしているのか 小熊英二時評集

今日、社会が進歩し、複雑になったため、多くの専門家が必要になりました。

それによって私たちは多くの恩恵を受けることができるようになりました。

しかし、その反面 失ったものも多いような気がします。

リアリティの減少、当事者意識の欠如です。

今回、小熊先生の言説に数多く触れることで、

特に政治においては当事者意識を忘れてはならないと実感しました。

理想を求めて、諦めずに、「問い続ける」こと

地に足をしっかりと着けて、丁寧に生きること の大切さを学びました。

参院選が終わったばかりです。

最近の選挙を見ていて、政党政治の限界を感じずにはいられません。

私の意見を代弁してくれる政党や政治家が見当たらないのです。

私自身は然程アナーキーな存在ではないと思っていますが、

政治指針を同じくする政治家が本当に見つからないのです。

皆さんはどうでしょうか?

考えてみれば、価値観が多様化した現在、

政党という軸で政治を進めていくこと自体に無理があるのだと思います。

自分の考えに比較的近い政党と立候補者に投票するしか無いため、

二重のフィルター越しにしか政治に参加できないことになります。

昨今の投票率の低さは、

その現実を無意識下に判断した民の

無言の主張なのかもしれません。

選挙制度を抜本的に見直さなければならないのでしょう。

これは、一票の格差問題以上に

死票と政治への幻滅を生み出しているのだと思います。

本題に戻り、小熊先生の取材にまつわるエピソードを紹介したいと思います。

その日は、幸運にもご自宅に招かれ、長時間の取材をさせていただきました。

社会起業家としての立ち位置の危うさや難しさに悩んでいた私に対し、

アドバイスをいただきました(今でも私の宝です)。

以来、この言葉を肝に銘じてきました。

そして、それは「社会医療人」のアイディアにもつながっていきました。

ご縁ですので、その「ツ・ナ・ガ・ル」の一部を紹介します。

その上で、

私たちはどこへ 行こうとしているのか」を

皆さんと問い続けたいと思います。

-医療者も社会の一員です。

自分が属する社会がどういうものなのか、あらためて考え直してみる。

そこから行動する必要がありますね。

そうですね。

ただ私は、お医者さんにむかって、

一足飛びに社会活動家になれ、と言う気はありません。

医者はあくまで、医療技術の専門家であるのが強みです。

しかし、自分が保持している技術はどんな問題を解決するためにあるのか、

どんな限界があるのか、どういう能力が足りないか、

どういう人々と連携する必要があるのか、

といった自覚はあったほうがいいと思います。

その自覚から、結果として社会のことを考え、

結果としていろいろな活動をするようになるなら、

それはとてもよいことだと思います。

そうなったときに、他人から

「あなたは活動家ですね」と結果的にいわれるようになったとしても、

「私はよい医者になりたかっただけですよ」と答えられるでしょう。

『小熊英二時評集』 毎日新聞出版(P.207)