136. 映画『素晴らしき哉、人生!』論考

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社会医療人の星

『素晴らしき哉、人生!』(It’s a Wonderful Life 1946年)は、

映画ファンなら必ず知っている名作中の名作です。

アメリカ映画協会が選ぶ「感動の映画ベスト100」では1位、

ある年の「クリスマス映画ベスト25」でも第1位にランクインしています。

知り合いの映画好きのアメリカ人に聞いた時も

アメリカでは毎年年末に必ず放映される不朽の名作だと言っていました。

監督は、3度アカデミーの監督賞に輝いたフランク・キャプラです。

フランク・キャプラ

本人も一世一代の名作として自信をもって世に出した本作でしたが、

アカデミー賞の作品賞を含めた5部門にノミネートされるも受賞は逃しました。

興業的にも失敗だったそうです。

邦題名が同じ、2016年の『素晴らしきかな、人生』は、

原題名はCollateral Beautyで、

1946年版のリメイクではないようです。

ウィル・スミスやキーラ・ナイトレイなどの人気俳優を擁して

ストーリーも悪くはなかったのですが、

私の軍配は明らかに1946年版に上がります。

一時は、毎年のようにクリスマスの時期に見返していたのですが、

ちょうど3年前、「午前十時の映画祭」で、初めてスクリーン視聴しました。

格別でした。

モノクロ映画なのですが、

スクリーンの力もあり、全くそれを感じることなく没頭して見入ってしまいました。

不朽の名作を映画館で見る機会は少ないので、

本当に有り難かったです。

さて、私が本作を愛して止まない最大の理由は、

「アメリカの良心」と言われたジェームズ・スチュワートの存在にあります。

 James Maitland Stewart(1908-1997)

James Maitland Stewart(1908-1997)

彼が、主役のジョージ・ベイリーという

これまた良心の塊のような青年を見事に演じています。

(というより、自然体で演じただけなのかもしれません。)

その好青年がクリスマス・イブの夜に失意のどん底に陥り自殺を考えますが、

200歳の二流の老天使 クレランスとめぐり逢います。

実際には、川に身を投じようとするジョージ・ベイリーを見て

先にクレランスが川に飛び込んでしまいます。

社会医療人の星

自殺寸前の最悪の状況にありながら、

溺れている老人を見たらとっさに助けてしまうあたりが

ジョージ・ベイリーらしいところです。

そして、老天使クレランスによって

「もし自分が、この世に存在していなかったら・・・」の世界を見せられます。

後の話は実際に映画を見てください。

終了後には、きっと貴方も

『素晴らしき哉、人生!』と叫んでいるはずです。

さて、本作は興行的には失敗だったと書きました。

多くの人の目に触れることはなかったのです。

それなのに、名作と称えられるようになったのは何故でしょう?

永らく忘れられた映画になっていたそうです。

そんな中、映画会社の方でも版権延長の手続きを怠ってしまい、

安価でTV放映が可能になったそうです。

内容から、クリスマスに毎年放映される定番映画になりました。

カプラ監督が最高傑作と認める本作ですから、

視聴者が感動しない訳がありません。

視聴者の口コミによって

評価が年々、高まっていったそうです。

映画会社の興行収入的には敗者となってしまいましたが、

映画界における名誉においては完全なる勝者となったのです。

これは正に、映画の中でのジョージ・ベイリーの大逆転劇を

映画自身が現実世界の中で再現しているようなものです。

きっと、映画自身が「素晴らしき哉!」と叫んでいることでしょう!!