2019年5月12日(日)、群馬県前橋市の群馬会館で
MEDぐんま2019に最後のプレゼンターとして登壇してきました。
MEDの群馬開催は3年目3回目となります。
毎年、恒例の会場である群馬会館は、
天皇即位の大典を記念して昭和5年に建設された県内初の公会堂建築です。
平成8年12月20日、国登録有形文化財に登録されたそうです。
令和最初のMED開催に相応しい、壮麗な建物です。
午前中から素晴らしいプレゼンが目白押しでした。
紙面の関係で詳細には触れることができませんが、
後日、動画のアップでお応えしたいと思います。
本日は、私のプレゼンに特化してお伝えします。
プレゼン風のレイアウトでお楽しみください。
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チーム医療フォーラム代表理事の秋山和宏です。私は勤務医の傍ら、社会起業家としての歩みを10年以上続けています。中学3年ぐらいの時から理想社会を夢見るようになっていました。この世の中には素晴らしい人がたくさんいるのに、どうしてこの社会は不条理に溢れているのだろうかと疑問に思っていました。そうして社会の変革を志すのですが、生身の人間で、特別な地位や傑出した天才が無い場合、その想いを実現するには、わが身の力をどうやって最大化してくかを考えざるを得ません。皆さんも同じではないでしょうか?
そんな問いから始めたMEDは、はや10年となりました。お陰様で、今やここ群馬、仙台、秋田での地方開催が出来るまでに成長しました。ただ、果たして、「われわれの声は世に届くものとなりえたのでしょうか?」 そんな疑問が浮かんできます。
本日は、MED10年の実践で得たもの をお話したいと思います。
「社会を良きものにしていく」 それには、影響力が重要です。
「社会を良くするための影響力」というものを5W1Hで考えてみましょう。
まず、Howです。世の中にはパワーポイントの使い方やプレゼンスキルなどが数多く紹介されています、それは一応検討して、身に着けておくべきでしょうが、影響力の初級段階でしかありません。
説得術、その多くは人の心をどのように操作すべきか? を真顔で説く人もありますが、そんな操作主義は本日の話とは無縁です。
そもそも、人の心を自由に操作できるはずがありません。少なくとも正当な影響力とは言えないでしょう。
ある意味、Howは重要ではありません。プレゼンのスキルに終始し、操作主義に走ると、むしろ悪臭を放つようになってしまいます。プレゼンター本人が気づかない場合が多いため、特に留意しなければなりません。
Howよりも大切なもの、それはまず、Whatです。世の中の重要な課題、イシューに対する提案、自身の実践などは強い影響力を持ちます。
例えば、モーセの十戒 モーセは40日間の断食と祈祷を経て、この戒律を授けられたそうです。
そうして、イスラエルの民をエジプトから理想の地カナンに導いたのです。
What 「何を語るか?」が大切なのです。
ただ、「何を語るか?」よりも重要なことがあります。それは、Who 「誰が語るか?」です。
たとえ同じ内容であったとしても、私が語るより、安倍首相が一国の代表として語るほうが何倍も何千倍も影響力があるはずです。また、ある分野の事柄について、その道の専門家が語るのであれば、やはり相当な影響力を持つのです。芸能人などの著名人の発言も影響力があることは皆さんも認めるところでしょう。
私の身の回りの例を挙げると、病院の外来で、患者さんがたくさん来るドクターがいる一方で、そのドクターより優秀で業績も立派なのに患者さんに人気のない先生もいます。この場合、患者さんは「誰が語るのか?」の重要性をしっかりと理解しているのです。その機微を分かっている医師などは、医学的知識やスキルのみならず、人物を磨いているのです。まあ、これはすべての領域で言えることだと思います。
「誰が語るのか?」「何を語るのか?」の他にも重要な要因があります。それは、Where 「どこで語るのか?」です。それまで無名で、さほど新規性のない内容であったとしても、国連総会でスピーチしたとなれば、多くの人が注目するはずです。場所が意外に重要なのです。私がMEDを始めたきっかけがここにあります。無名の人であっても、一途一心に良き実践をしている人を、影響力を以て世の中に紹介したいと思いました。10年走って来て、MEDはそれなりのWhereの舞台として機能してきていると感じています。
また、忘れてはならない要素に、Whenがあります。ある人物を世に紹介したい時にも、タイミングがあると思うのです。人間には、人生の時の時というような重要な節目があります。プレゼンターは私が1年中探して依頼しているのですが、場合によっては、1年後の方がよいと判断して、時期をずらしたりしています。ピークの直前にご登壇いただくのを理想としています。MEDはその方の人生の演出をお手伝いしたいと考えています。
忘れてはならない、最も重要な要素 それはWhyです。TEDの名スピーチ サイモン・シネックの「ゴールデン・サークル」を知る人も多いでしょう。
何より重要なのがWhyです。MED10年の実践の結論はこれです。
「あなたはなぜ 声を発するのですか?」 そのWhyを掘り下げてみるべきです。
その時、気づかされるでしょう。Love meではいけない。 Love youの精神が大切であることを…。
京セラの稲盛和男さんが言われる通り、「動機善なりや、私心なかりしか」が重要なのです。
「世の中を良きものにしたい」という強い想い これがあれば十分なのだと思います。
結局、Whyの強い想いが最重要であると知ってみると、ここにいらっしゃる皆さんの中にも、我こそ次のプレゼンターになろうと決意されるかたもいらっしゃることでしょう。実は、門戸は開かれています。MED自薦プレゼンター募集が始まっています。今年の東京開催は10月6日です。
あなたの心からの声を聴かせてください。あなたの影響力を世の中の為に行使してください。これは、もちろん今後も毎年募集していきます。そして、11年目の新生MEDは、ここに高らかに宣言します。
世界的なプレゼンテーションイベントであるTED越えです。
昨年の東京で開催したMEDで、私の尊敬して止まない田坂広志氏にご講演をお願いしました。
テーマは「生命論パラダイムの時代」です。その中で、今の時代、「命というものが、 命として扱われていない」という指摘がありました。
動画をMED Japanのサイトにアップしていますので、ぜひご覧ください。
http://medjapan.org/03organization/tasakahiroshi/
機械論パラダイムから生命論パラダイムへのシフトが始まっていることを実感されると思います。
MEDはTEDを超えて行きます。何故なら、機械論パラダイムから生命論パラダイムへ転換するからです。両パラダイムを比較して見てみましょう。技術は芸術に、標準化は多様性や多様化へ、これからの時代は簡単には答えの出せない問題が山積しています。この時、大切なのは、ソリューションではなく、ビジョンや志です。そのシフトが起きるでしょう。そして、機能を追求する時代から意味や価値を追求する時代となるでしょう。美しさの基準も変わってくるはずです。
これは、チーム医療フォーラムのミッションです。
「いのちの場から社会を良くする」ことは、生命論パラダイムへの転換を加速させることでもあります。これこそ、AIが最も不得意な領域であり、志ある人間のみが可能せしめるのだと思います。
ともに新しい時代を歩んでいきましょう!
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MEDぐんま2019 には様々な工夫がありました。
チーム前橋の御三方の尽力の賜物です。
懇親会では、地元アイドル「あかぎ団」のショーは圧巻でした。
来年も「MEDぐんま」の独自色に期待したいと思います。
10月6日のMED Japanにもご期待ください。
2019年5月15日