10月6日にMED Japan 2019が開催されます。
世の中を少しでも善きものにしたいと願うあなたは、
必ず参加すべきです。
今週は、その理由について、
人工生命ボイドの知見からお話したいと思います。。
人工生命のひとつに、クレイグ・レイノルズの提唱したボイド (boid)があります。
鳥の群れは数十の鳥たちがある秩序を獲得し、
あたかも一つの生き物のような振る舞いをすることが知られています。
それによって大敵を威嚇し、
時に被害にあうとしても最小限に済ますことが出来ます。
このとき、私たちは、
群れのリーダーとなる鳥がいて何らかのコミュニケーション信号を発している、
と考えてしまいます。
ビジネススクールでは、自身がそのようなリーダーになるには
あるいは、そのようなリーダーをどうやって育成するかが大きなテーマになっています。
成果を出す組織には、立派なリーダーが必須であると考えてしまいます。
この考えが全くの誤りであるとは言いませんが、
コンピュータ上の人工生命のボイドの研究から分かってきたことはかなり違っています。
リーダー格の鳥が存在して、群れ全体に指示を出しているという説を
中央制御システム・モデルと名付けましょう。
しかし、コンピュータ上のボイドの一羽をリーダーに仕立てて
中央制御のプログラムをいくら精巧に設計しても、
現実の鳥の群れのような、整然としたリアルな群れ飛行は再現できないそうです。
しかし、ボイドの提唱者であるレイノルズによれば、
たった三つの行動ルールを個々のボイドに設定することで、
現実の鳥の群れと同じボイドの群れが出現したというのです。
しかもその三つのルールは実にシンプルです。
それは、「引き離し」「整列」「結合」です。
引き離し(separation)
整列(alignment)
結合(cohesion)
たったこれだけの資質を各ボイドにプログラムするだけで
その集団である群れは、秩序ある行動を獲得するのです。
ほら、このように…。
私は、常々、理想社会を思い描いています。
その時、先の優れたリーダーによる中央制御システム・モデルを想定してしまうことが多いです。
しかし、70億もの人間がそれぞれに多様性を発揮する社会では、
複雑性の極みと言った状態になっています。
この潮流は益々、加速するでしょう。
それを中央制御システム・モデルで管理できるはずがありません。
一見、絶望的になってしまうのですが、
先のボイドのたった3つのプログラムが
集団となった時に獲得する秩序ある振る舞いに私は大いに期待しています。
この世界をより良きものにする秘訣は、
実は、国際連合や世界政府などの中央制御システム・モデルではなく、
個々の人間のいたってシンプルな考え方、心構えによるのではないかと思い始めています。
ここではプリンシプルと仮に名付けておきましょう。
直観的ではありますが、
そのプリンシプルは「いのちの場」から発想すべきであると思っています。
合理主義、功利主義、科学至上主義等々、様々な主義がありますが、
もっと身体性に由来した「いのちの場」からの主義でなければならないと思うのです。
さて、前置きが相当に長くなりました。
「いのちの場から社会を良くする」という私たちチーム医療フォーラムのミッションは
具体例として、MED Japanで表出されると思っています。
ここで語られる実践の中に、「いのちの場」に依拠した秩序が見えますし、
それを断行するプレゼンターの資質の中に
先のプリンシプルが通底しているような気がするのです。
「いのちの場」で格闘する善き人々の中に
社会を変える潜在力を感じています。
私は、それを必死に探し求めてきました。
MED Japanが目指すものです。
そして、それがおぼろげながら見えてきました。
さあ、皆さんも私と一緒にそれを掘り出しに行きましょう。
ぜひ、MED Japan 2019へ!
2019年9月18日