先週日曜(2016年7月10日)の参院選は、
選挙権年齢が20歳以上から18歳以上に引き下げられた最初の国政選挙となりました。
当選者のインタビューをテレビで拝見していて
リーダーについて思うところがありました。
今日では直接民主制が困難であるため、
間接民主制を採らざるを得ないのが諸外国を含めた現状です。
間接民主制とは、選挙によって民意の代表者を選出し、
自らの権力の行使をその代表者に信託することで、
間接的に政治に参加しその意思を反映させる制度です。
自らの代弁者となるリーダーを的確に選ばなければなりません。
開票結果が出揃いましたが、
今回の皆さんの意思は、今後の国政に反映されそうでしょうか?
信頼に足るリーダーを選出できたのでしょうか?
家の傍に南千住図書館があり、その門前に「橋本左内の墓外套堂」があります。
橋本左内とは幕末に活躍した福井藩士で、
26年の短い生涯にもかかわらず、
多くの人に影響を及ぼした俊英です(私も影響を受けた一人です)。
藩医の家に生まれ、適塾に学びました。
医の世界から社会を見つめていたという点で
私達との共通点は多いと思います。
彼が15歳の時に書き上げた『啓発録』は実に見事です。

啓発録 (講談社学術文庫) 文庫 – 1982/7/7
『啓発録』は「去稚心」「振気」「立志」「勉学」「択交友」の5章から成りますが、
リーダーの心得えの筆頭として「去稚心」を挙げている点に最も注目しています。
「去稚心」とは、
「稚心、すなわち子供じみた幼稚な心、甘ったれた気持ちをきっぱりと捨て去りなさい」
ということです。
これは、大変なことを言っていると思うのです。
橋本左内のこの気概を知ってから
リーダーの立場にある人については、
「稚心」の有無で視るべきだと思うようになりました。
「これは!」と思うようなリーダーに出会うことがあります。
しかし、つぶさに観察してみると
「稚心」が抜け切っていない本心が見えてきて、
拍子抜けしてしまうことも時にあります。
ここで言う「稚心」は、
本物のリーダーが持つ、少年のような無邪気さや感動しやすい感性、
ユーモアのことではありません。
念のため…。
と、ここまで書いてきて、
年長者の稚心を見つけたようなことを得意気に書いている自分こそ、
稚心が抜け切れていないと気づくのでした。
しかし、「去稚心」の修行を、私はこれからも続けていくつもりです。
『啓発録』が世に出て以来、
より良き社会を実現するために
数多の先達が同じ修行をしてきたのだと思います。
今、この瞬間においても、そのような者たちがいることを感じます。
ここまで読まれて、橋本左内という人物に感じ入った方は、
是非、『啓発録』を手に取ってみてください。
そして、最初の序文をしっかりと読んでください。
本物のリーダーの静けさとそれに伴う強さに気づかれるはずです。
声高に己の主張を叫び、
志に乗じて気概を発散する無意味さを知らなければなりません。
参院選当選者の映像から
ふと、そんなことを感じました。