171.『風をつかまえた少年』映画論考(知は力なり)

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社会医療人の星

映画『風をつかまえた少年』を観てきました。

2013年アカデミー賞作品賞受賞『それでも夜は明ける』の主役を演じた

キウェテル・イジョフォーの初監督作品ということで

興味津々でした。

社会医療人の星

映画の出来栄え以上に感動したのは、

主人公の少年 ウィリアム・カムクワンバの人生そのものにです。

事実の重みを感じざるを得ません。

舞台はアフリカ南東部に位置するマラウイ共和国です。

実際の撮影も、そのマラウイで敢行されました。

脚本も手掛けたイジョフォー監督も

とことんリアリティにこだわったのだと思います。

そのマラウイはアフリカの最貧国のひとつなのだそうで、

2001年に襲った大干ばつと飢餓によって

多くの人の命が失われました。

そんな中、学費が払えなくて

ウィリアム少年は退学させられてしまいます。

彼の凄いところは、

退学後も頼み込んで図書館に通い詰めて勉強したことです。

そして、ある一冊の本「エネルギーの利用」との出会いから

電気を起こす風車をつくろうと思いつきました。

実際、廃品置き場から材料を集め、自家発電の風車を完成させます。

それにより家では照明とラジオが使えるようになり、

さらにその電気によって簡素ながら灌漑設備も完成させたのです。

彼は家族を救っただけでなく、村全体にも多大な恩恵を与えました。

その書は、まさに彼にとっての恩書であり、

マラウイ共和国・リロングウェ村にとっても恩書であったのです。

「教育が人を変える」と言います。

「教育によって人生が開かれる」のです。

池上彰さんが映画のタイトルをもじって

教育で「知恵をつかまえた」少年と称賛しています。

かつて、フランシス・ベーコンは、

Knowledge is Power.

と言いました。

全く、その通りです。

少年のやったことは、新たな科学の発見や発明ではありません。

たいした価値ではないと思われるかもしれませんが、

決してそんなことはありません。

不撓不屈の精神とキャッチアップの有効性を私に教えてくれましたし、

これから、多くのアフリカの少年少女たちを鼓舞するはずです。

そんな彼の雄姿をTEDで見ることが出来ます(22歳当時)。

その後の彼は、

アメリカのダートマス大学で環境学を学び、2014年に卒業しました。

現在はアメリカで生活していますが、

定期的にマラウイに帰国し、

農業、水アクセス、教育など様々なプロジェクトに携わっているそうです。

正規教育をほとんど受けていなかった14歳のウィリアム少年の軌跡を想うとき、

アフリカ諸国の先進国へのキャッチアップは相当に速いし、早いのだと予想します。

私たちの祖先のホモ・サピエンスは

マラウイに隣接するタンザニアに誕生しました。

ホモ・サピエンスの出アフリカのグレート・ジャーニーは、7万年前に始まったとされます。

そのグレート・ジャーニーが地球を一巡し、

今や、発祥の地であるアフリカに

外的足場としての現代文明をもたらす日も近いのだと思います。

そして、世界の最先端が、再びアフリカに戻るようになるのかもしれません。