知人の書いた本なので手に取ってみましたが、
お世辞抜きで、実践知に満ちた良書でした。
今やマネジメントはこういう方向にたどり着いているのだと知ることが出来ました。
という訳で、今週は久しぶりに書評をお送りします。
キーワードは「マネハプ」です。
さて、「マネハプ」とは何でしょう?
MBAホルダーであれば誰もが知っているヘンリー・ミンツバーグ教授が名付けた
「マネジメントハプニングス」の略語です。
経営学の権威(グル)とも称されるミンツバーグ教授を紹介しておきましょう。
業績不振の米国企業のエグゼクティブでMBA取得者の比率は90%
業績好調の米国企業のエグゼクティブでMBA取得者の比率は55%
なのだそうです。
タイトルの「MBAが会社を滅ぼす」のご指摘、
御尤もです。全くの同感です。
これからの時代は、益々そうなると思います。
そもそも、日本の伝統的な会社では、米国流MBAのマネジメントスキルなどを
信じていなかったような気がします。
ケーススタディーで過去の事例を学んだとしても
これからの予測不能の時代においては
ケースからの教訓や法則は役に立たないことが多いのです。
さらにそれらから抽出された理論に至っては
ある会社の成功理由の解説にはなり得たとしても
これから台頭していこうという会社の指針には殆ど役に立たないのです。
「マネハプ」に話題を戻しましょう。
「マネハプ」は、ミンツバーグ教授の人材育成プログラム:
「リフレクションラウンドテーブル」の中核となる手法です。
具体的には、毎週1回、同僚たちとその週に職場で起こった出来事を振り返る「内省」と、
互いに語り合う「対話」を実践していくというシンプルな手法です。
これまでのマネジメントは、如何にハプニングを避けて計画通りに遂行させるかに力点が置かれていたような気がします。
しかし、仕事に於いて、特に現場ではハプニングはつきものです。
そのハプニングから目を逸らさずに、
むしろそれに正対することからチーム、組織、会社の成長が始まるのでしょう。
計画通りに進まないからこそ、面白いのです。
そうしたハプニングや困難を
職場の同僚たちと「内省」と「対話」を繰り返しながら乗り越えていくのです。
マネジメントすべきなのは、商品や計画ではなく、
ハプニングなのだと思います。
ハプニングを積極的に受け入れ、それを元に学習していくことで
組織は「生き物」化していくのでしょう。
生命力を獲得していくのでしょう。
持続可能な、強い組織は、そうして生まれるのだと思いました。
最後にジョン・レノンの名言を紹介しておきます。
予定調和ではない、ハラハラ、
2017年11月29日