3・11から9年が経ちました。
その日から日本の復興が始まりました。
それは、日本の再生でもあります。
メルマガ200回の記念号には「日本再生」をテーマに選びました。
と言う訳で、「日本再生」を主眼とした安宅和人さんの新著
『シン・ニホン』を紹介します。
安宅さんといえば『イシューからはじめよ』ですね。
初めての方は下記をご覧ください。
25万部超といいますから本当にすごい本です。
新著『シン・ニホン』も熱い!です。
「この国は、もう一度 立ち上がれる。」
しびれるキャッチフレーズですね。
それを確信させてくれる素晴らしい内容でした。
実は数年前、安宅さんを取材し、その場で個人授業をしていただきました。
図3-12(177)関連のレクチャーでしたが、
その深い意味が、本書の読了後に初めて理解できました。
当時から、安宅さんは日本再生に賭けていたのだと思います。
本書では、言葉の端々に安宅和人という人物の凄みが滲み出ています。
“つかみ”として紹介しておきましょう。
- 単なる悲観論、それは逃げだ。自分たちが未来も生き続けること、
自分たちが次の世代に未来を遺す存在であることを無視している。 - 文句は言っていい、しかし言った人が直す
- ほとんどの人は、あまりに多くのことが変数として一気に動く目まぐるしさの中で、
変化が落ち着く日を待っているようだ。
でも、残念ながらそんな日は来ない。 - もうそろそろ、人に未来を聞くのはやめよう。
そしてどんな社会を僕らが作り、残すのか、考えて仕掛けていこう。
はじめにの6ページだけでも珠玉の言葉が並んでいます。
このトーンが本全体に通底していますから、ワクワクしますね。
本文の紹介に移りましょう。
まず、データ×AIの観点から世界の変化の本質と全体観が導かれ、
日本の今の真実の姿が明示されていきます。
分析によれば負けっぱなしの日本ではありますが、
そこに新たな価値筋が提示されます(逆転の発想です)。
そうした背景を踏まえた上で、
新しい教育の提言とその重要性が強調されていきます。
それらが、1章から4章までに語られています。
フェーズ1、2、3の概念は押さえておきましょう(113-120)。
日本の価値筋はフェーズ2、3です。
“AI-ready化”ガイドラインも必須項目です(129)。
以下、個人的に響いた
いくつかのキーフレーズを列記しておきます。
- スマホの上に現在、世界最大の“大陸”がある(53)
- 若い才能の3割は発掘され、解き放たれるのを待っている(80)
- 世界で最初に日本で顕在化する問題を、世界に先んじて自力で解決できるようになることが重大だ(139)
- マネジメントとは、「組織に成果をあげさせるための道具、機能、機関」(146)
- あるべき姿を見極め、設定する
- いい仕事をする
- いい人を採って、いい人を育て、維持する
- 以上の実現のためにリソースを適切に配分し運用する
- コミュニティ全体が未来に向けいい人を育む責任がある(147)
- 夢を描き、複数の領域をつないで形にしていく力を持っている人が遥かに大切になる(151)
- 「起爆人種」「参画人種」「応援人種」「無関心人種」「批判人種」(153)
- 人間社会で成功するかどうか、面白いことを仕掛けられるかどうかのかなりの部分は、運、根気、勘、そしてその人の魅力、すなわちチャームだ(156)
- AI、機械知性はイミを実感のあるものとしては何も理解していない ・・・・・ キカイに我々と同じような身体がないこと、色や形のような基礎的なモダリティのイミからのくみ上げがないために、この課題が解決する見込みは立っていない。AIには「意思」がない(192)
- 我々を極めて強力にアシストするキカイが生まれたと考えるのが正しい(194)
- ファーストハンドの経験 言葉、数値になっていない世界が大半である(196)
- 膨大なことを細部まで知っているであるとか、決まりを正しく理解し、そつなくちゃんとやる系の、本質的にマシンのほうが得意な力を鍛えることにはさして意味がない … 生々しい知的、人的経験、その上での多面的かつ重層的な思索に基づく、その人なりに価値を感じる力、すなわち「知覚」の深さと豊かさだ。ある種の生命力であり、人間力といえる(204)
- 学ぶ側が教える側に回るカスケード的な展開(211)
- 海外からの「輸血」で時間を買う
- 心のない人に率いられる社会というのは目も当てられない(228)
読み手は、著者の息遣い(筆遣い)から、徐々にボルテージが上がっていくことでしょう。
そして、安宅さんによるファクトベースの具体的提言が
5章、6章で展開されます。
4章までのキーフレーズを押さえた上で、
ご自身の専門分野の立場ならどうするかを考えながら
じっくりと読んでいただきたいと思います。
必ずご自身のやるべきことが見つかるに違いありません。
400頁強の大著ですが、
日本再生の志のある人なら一気に読めるでしょう。
そして、俄然やる気が沸き起こってくるはずです(マジで)。
(2020年3月11日)