201. 大腰筋ウォーキングの薦め

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社会医療人の星

新型コロナウィルス感染拡大防止のため、

外出を自粛している方が多いと思います。

1日中、家に籠っていては

身体が鈍ってしまいます。

かといってジムに行く訳には行きません。

そんな時は青空の下でのウォーキングに限ります。

私は6年前からメディカルウォーキング(医歩)を提唱し、

高齢者の健康維持に役立てたいと工夫してきました。

様々な学びの成果の一つとして、

小林寛道 東大名誉教授が提唱する

「東大式 大腰筋ウォーキング」を紹介したいと思います。

昨今、あらゆるスポーツ分野で

大腰筋の重要性が指摘されています。

身体の大切な軸を作り、

安定したフォームやパフォーマンスには欠かせないものです。

まずは大腰筋の具体的なイメージを掴んでいただくため

解剖学から学んでいきましょう。

大腰筋は、腸骨筋(、小腰筋)と共に

人間の股関節部のインナーマッスルの腸腰筋の一部です。

大腰筋

大腰筋は体幹と下肢をつなぐ唯一の筋肉であり、

上半身と下半身を繋ぐカスガイともいえます。

人間の直立2足歩行を可能にした筋肉で、

歩行の際に脚を引き上げたり、踏み出したりする役を担っています。

大腰筋の起始は2種類
起始 浅頭 Th12〜L4の椎体および肋骨突起 矢状面の動き
深頭 全腰椎の肋骨突起 水平面・前額面の動き
停止 大腿骨小転子
神経支配 腰神経叢および大腿神経

大腰筋の起始と停止をイメージすれば

相当に長い筋であることが分かります。

その長い筋が頑丈な鼠径靭帯を潜って

大腿骨の小転子に付着しています。

股関節の位置は骨盤の横にあるとイメージすると良いでしょう。

決して腰の真下とイメージしてはいけません。

大腰筋の身体的イメージを掴んでいただいた後に、

いよいよ大腰筋ウォーキングの説明に入ります。

小林寛道著『東大式 世界一美しく正しい歩き方』によれば、

大腰筋ウォーキングの特徴は、「膝・腰同側型動作」の実践であるといいます。

この「膝・腰同側型動作」とは聞き慣れない言葉ですが、

右足を出すときに右腰も一緒に出し、腰も脚の一部とすることで、胸椎、腰、膝、くるぶしを結んだ線が直線となり、背中がわずかにひねられて、腰が前に出ていく動作です(126)。

もう少し、噛み砕いて説明します。

私たちが普段歩いているときのスタイルは、

右足が前に出たときには左手が、

左足が前に出たときには右手が前に振り出される「斜体側交差型動作」です。

これに対し、「右足と右手」「左足と左手」と、同側の手足を同時に出す動作が「同側型動作」で、

「なんば歩き」がこれに該当します。

「なんば歩き」の上肢を交差させたスタイルが大腰筋ウォーキングとなります。

ちなみに、競歩では遊脚側の骨盤位を低くし、

支持脚側の大転子が高くなるように骨盤を傾けています。

実は、大腰筋ウォーキングでは、競歩のこの動きとは逆に、

遊脚側の骨盤を高くして、支持脚側の腰を伸ばしています。

説明を聞けば聞く程、分からなくなってしまうかもしれませんね。

小林教授の解説に的確な一言がありました。

「みぞおちから脚が出る」という感覚で歩く という表現です。

私は、大腰筋の解剖とこの表現から

一発で大腰筋ウォーキングが出来るようになりました。

皆さんはどうでしょう?

それでもイメージできないという方には

下記動画(前半50秒迄のインストラクターの歩き方に注目)がお薦めです。


それでも分からないという方は、

毎月第4水曜日午前、東葛クリニックみらい  で開催している

医歩倶楽部にご参加ください(笑)。

(現在、コロナウィルス感染拡大防止のため、3月、4月は中止となっています)

(2020年3月18日)