新型コロナウィルス感染拡大防止のため、
外出を自粛している方が多いと思います。
1日中、家に籠っていては
身体が鈍ってしまいます。
かといってジムに行く訳には行きません。
そんな時は青空の下でのウォーキングに限ります。
私は6年前からメディカルウォーキング(医歩)を提唱し、
高齢者の健康維持に役立てたいと工夫してきました。
様々な学びの成果の一つとして、
小林寛道 東大名誉教授が提唱する
「東大式 大腰筋ウォーキング」を紹介したいと思います。
昨今、あらゆるスポーツ分野で
大腰筋の重要性が指摘されています。
身体の大切な軸を作り、
安定したフォームやパフォーマンスには欠かせないものです。
まずは大腰筋の具体的なイメージを掴んでいただくため
解剖学から学んでいきましょう。
大腰筋は、腸骨筋(、小腰筋)と共に
人間の股関節部のインナーマッスルの腸腰筋の一部です。
大腰筋は体幹と下肢をつなぐ唯一の筋肉であり、
上半身と下半身を繋ぐカスガイともいえます。
人間の直立2足歩行を可能にした筋肉で、
歩行の際に脚を引き上げたり、踏み出したりする役を担っています。
大腰筋の起始は2種類 | |||
起始 | 浅頭 | Th12〜L4の椎体および肋骨突起 | 矢状面の動き |
深頭 | 全腰椎の肋骨突起 | 水平面・前額面の動き | |
停止 | 大腿骨小転子 | ||
神経支配 | 腰神経叢および大腿神経 |
大腰筋の起始と停止をイメージすれば
相当に長い筋であることが分かります。
その長い筋が頑丈な鼠径靭帯を潜って
大腿骨の小転子に付着しています。
股関節の位置は骨盤の横にあるとイメージすると良いでしょう。
決して腰の真下とイメージしてはいけません。
大腰筋の身体的イメージを掴んでいただいた後に、
いよいよ大腰筋ウォーキングの説明に入ります。
小林寛道著『東大式 世界一美しく正しい歩き方』によれば、
大腰筋ウォーキングの特徴は、「膝・腰同側型動作」の実践であるといいます。
この「膝・腰同側型動作」とは聞き慣れない言葉ですが、
右足を出すときに右腰も一緒に出し、腰も脚の一部とすることで、胸椎、腰、膝、くるぶしを結んだ線が直線となり、背中がわずかにひねられて、腰が前に出ていく動作です(126)。
もう少し、噛み砕いて説明します。
私たちが普段歩いているときのスタイルは、
右足が前に出たときには左手が、
左足が前に出たときには右手が前に振り出される「斜体側交差型動作」です。
これに対し、「右足と右手」「左足と左手」と、同側の手足を同時に出す動作が「同側型動作」で、
「なんば歩き」がこれに該当します。
「なんば歩き」の上肢を交差させたスタイルが大腰筋ウォーキングとなります。
ちなみに、競歩では遊脚側の骨盤位を低くし、
支持脚側の大転子が高くなるように骨盤を傾けています。
実は、大腰筋ウォーキングでは、競歩のこの動きとは逆に、
遊脚側の骨盤を高くして、支持脚側の腰を伸ばしています。
説明を聞けば聞く程、分からなくなってしまうかもしれませんね。
小林教授の解説に的確な一言がありました。
「みぞおちから脚が出る」という感覚で歩く という表現です。
私は、大腰筋の解剖とこの表現から
一発で大腰筋ウォーキングが出来るようになりました。
皆さんはどうでしょう?
それでもイメージできないという方には
下記動画(前半50秒迄のインストラクターの歩き方に注目)がお薦めです。
それでも分からないという方は、
毎月第4水曜日午前、東葛クリニックみらい で開催している
医歩倶楽部にご参加ください(笑)。
(現在、コロナウィルス感染拡大防止のため、3月、4月は中止となっています)
(2020年3月18日)