先週金曜の11/17に、映画『不都合な真実2』が公開されました。
2007年アカデミー賞(長編ドキュメンタリー賞)受賞の『不都合な真実』から10年、
待望の続編です。早速、観てきました。
環境問題を考える時、いつも私の頭に浮かぶのは、
コヴィーの『7つの習慣』の第三の習慣です。
今週は、『7つの習慣』を踏まえながら
『不都合な真実2』を論考してみたいと思います。
まずは『7つの習慣』について解説しますと、
聖書の次に売れているといわれる世界的ベストセラーです。
ビジネスマンであれば、殆どの方がご存知かと思います。
数年前、チーム医療フォーラムでは、
この『7つの習慣』を医療人にいち早く紹介しようと
セミナーを開催したことがありました。
このような由緒あるビジネス系セミナーは参加費が高く、
医療人には馴染みのない事が多いのですが、
チーム医療フォーラムで参加費の穴埋めをして開催しました。
何よりも主催した自分たちが一番勉強になったと記憶しています。
さて、本書では、成功者には七つの知恵ではなく
7つの習慣があり、それを事細かに紹介しています。
その中の三番目の習慣として挙げられているのが、
「重要事項を優先する(最優先事項を優先する)」であり、
時間管理のマトリックスの図として解説されています。
![出展 『七つの習慣』第三の習慣 ―時間管理のマトリックス](http://tunagaru.org/wp-content/uploads/2017/11/7902.png)
出展 『七つの習慣』第三の習慣 ―時間管理のマトリックス
このマトリックスでは、縦軸に「重要」と「重要でない」
横軸に「緊急」と「緊急でない」の4つの象限に分けて日々の活動を考えていきます。
日々の私たちの活動を考えてみますと
第I領域と第II領域が多いことに気づくはずです。
日々の活動の優先度を第I領域にしてしまっていることが多いのではないでしょうか?
しかし、『7つの習慣』では、第II領域の活動を最重要視すべきと提唱しています。
平たく表現すると、
一般人の優先順位は、第I領域>第III領域>第II領域>第IV領域 となっていて、
成功者では、第II領域>>第I領域>第III領域>第IV領域 であるというのです。
しかも、第II領域と第I領域とでは、大きな開きがあるべきです。
緊急患者の対応に追われる医師は周りのスタッフからは良い医師に見えるでしょうが、
そればかりではいけないというのです。
論文をまとめたり、業務のマニュアルを作成したりするなど、
第II領域の活動を時間の捻出をしながらするべきなのです。
また、第I領域に時間を取られると、
人間は反動として否応なしに第IV領域に時間を使ってしまうというデータもあります。
どういうことかと言いますと、
緊急対応ばかりしている医師は、反動として
気晴らしのゲームやムダなおしゃべりなどに時間を費やして
精神のバランスを取っていることが多いのです。
(実際には、第Iも第II領域も猛烈にこなせる非常に訓練された医師が存在することも事実です。)
環境問題に戻ってみましょう。
環境問題とは、まさに第II領域の課題です。
一見、緊急性がないと感じてしまうため、つい後回しで良いと考えてしまうのです。
一般人の優先順位は、第I領域>第III領域>第II領域>第IV領域 と書きました。
何と、最重要事項として取り組むべき第II領域が、3番目の優先度になってしまっているのです。
しかしながら、『不都合な真実2』の映画は、
第II領域>>第I領域>第III領域>第IV領域という
成功者の優先順位に私たちを導いてくれると直感しました。
行動変容を起こさせるという意味で、やや大げさかもしれませんが
全人類が観ておくべき映画だと思います。
長くなってしまいましたが、
アル・ゴアにも触れさせてください。
歴史にifは無いのでしょうが、
もしも、あの時、ブッシュではなく
アル・ゴアがアメリカ大統領に就任していたならば、
今の世界は全く違った景色になっていたはずです。
大統領選敗退後、彼は政界を引退し、自分の農場の納屋のような小さな一室で、
環境問題のリーダーを育成するための草の根セミナーを開催しました。
わずか50人の出発だったそうです。
ゴアの戦い方は非常に洗練されているように写りますが、
実はこのような納屋の一室から始まった草の根運動であった点に
私は強く共感します。本物だと感じます。
そして、彼のセミナーは、
1968年クリスマス・イブのアポロ8号「地球の出」写真から始まります。
圧倒的に美しい地球の姿が私たちの心を動かすのです。
![月の地平線から姿を現した「地球の出」。 1968年に打ち上げられたアポロ8号の乗組員が撮影した。 Photograph courtesy NASA](http://tunagaru.org/wp-content/uploads/2017/11/7903.png)
月の地平線から姿を現した「地球の出」。
1968年に打ち上げられたアポロ8号の乗組員が撮影した。
Photograph courtesy NASA
そういえば、WorldShift日本代表の谷崎テトラさんの講義も
同じく、その映像からスタートします。
お二人には共通の地球愛、人類愛が
肌感覚で備わっているような気がします。
映画は、世界各国の首脳が集まった2015年のパリ協定の現場、舞台裏を伝えます。
本当にギリギリの折衝であった事が分かります。
陰ながらのリーダーの存在が不可欠であることを知らされます。
今年6月にトランプ大統領が「米国のパリ協定離脱」を表明しました。
地球温暖化を認めないことを選挙前から公言していましたので、
トランプ大統領とすれば当然なのかもしれませんが、
世界中の多くのリーダーを落胆させたと思います。
しかし、希望はあります。
実は、米国が法的にパリ協定を離脱できる最初の日は、
何と、2020年の次の大統領選挙の翌日なのです。
ということは、次の大統領次第ということになります。
まだ希望は遺されているのです。
今後も、アル・ゴアの戦いに注目したいと思います。
2017年11月22日