第39 回ヨーロッパ臨床栄養・代謝学会(European Society for Clinical Nutrition and Metabolism、以下ESPEN)が、オランダ、デン・ハーグで開催されました(2017年9月9日~12日)。
今週はその体験談を書かせていただきます。
まずはESPENについて解説します。
世界には55 以上の栄養系の学会:PEN-Society
(Society for Parenteral and Enteral Nutrition:各国・地域の静脈経腸栄養学会)があります。
日本静脈経腸栄養学会(以下、JSPEN)は1986 年の静脈・経腸栄養研究会を経て
1998 年に学会発展し、会員2万人以上の世界最大規模の学会となりました。
米国静脈経腸栄養学会(ASPEN)は最古となる1976 年に設立されたもので、
完全静脈栄養、栄養サポートチームなどの分野で世界の栄養界を牽引してきました。
日本を含めアジア地域の12カ国が参加するPENSA(アジア静脈経腸栄養学会)は1995 年に設立されました。
1979 年に設立されたESPENは会員数3000 人強と規模は小さいものの、
欧州のPEN-Society を束ね、
世界の栄養界における学術、教育の分野で指導的な役割を果たしてきました。
今年のESPENですが、日本は参加者数では10位、演題登録は5位でした。
昨年の演題数は1位でしたので、やや後退したかのように見えるかもしれません。
ただ隔年で交互に学会規模を大小させており今年は小規模の年でした。
来年の拡大規模のESPENでは日本の首位奪還に期待したいと思います。
驚いたことがありました。
アカデミックなESPENにあって、
何とガイドラインメンバーに中に日本人の名前が!
東口高志 JSPEN理事長です。
しかも2箇所に載っているではありませんか。流石です。日本の誇りです。
ESPEN の特徴は充実した学術・教育プログラムにあります。
臨床栄養の分野で数々の研究成果を生み出し、
2005 年から開始した栄養教育プログラムのLLL は
数多くの栄養の志を持つものに継続的な学習の機会を与えてきました。
無償で提供されるe ラーニングによるオンラインコースは
世界中で延べ25000 名以上が受講しています。
そこで今回、私も学会前日に開催されたLLLを受講してきました。
36.Nutrition in older adults
2時間のコースと思いきや、実際には試験を含めて4時間のコースでした。
30分ずつ、4人の講師による講義があり、
休憩を挟んで1時間弱の症例検討と試験です。
4人の講師は有名人ばかりで、さすが本場のLLL! という感じでした。
試験は8割以上を正解しないと合格できません。
厳しい試験ですが、無事合格できました。
JSPENの指導医になるためには、
LLL (Life Long Learning) live course受講証4講座以上、内、合格証書2講座以上
が必要ですので、来年も頑張ります。
ポスター発表も無事終了しました。
最後にオランダ観光のスナップをどうぞ。
フェルメール、レンブラント 素晴らしかったです。
2017年9月13日