今年最後のメルマガとなりました。
1年の締めくくりに
今年のノーベル経済学賞のリチャード・セイラー博士を取り上げたいと思います。
皆さん、“ナッジ”ってご存知ですか?
私は、チーム医療フォーラムの活動のすべてが
このナッジでありたいと考えています。
まずは今年のノーベル経済学賞受賞者のセイラー博士の紹介です。
シカゴ大学 経済学部の教授で、写真からも人の良さが伝わってきます。
(その人となりを実際には知りませんが、間違いないと思います。)
“行動経済学”の理論的発展に貢献したことが受賞理由となっています。
最近の経済学は凄いと思います。
特に、この「行動経済学」には注目せざるを得ません。
経済学における人間モデルには2通りあります。
セイラー博士の言い方を用いれば、
「ヒューマン」と「エコノ」です。
エコノとは、合理的経済人であり、常に合理的に意思決定を行う存在とされます。
所謂、経済学の教科書の中にだけ存在する人間です。
一方、ヒューマンは、私たち人間そのものです。
時にはバカなこともするし、
分かっていても合理的な意思決定をしないこともあるのが生身の人間です。
「分かっちゃいるけど、止められない」というのがヒューマンです。
これまでの経済学がエコノを前提に学問を構築してきたのに対し、
行動経済学は心理学の理論や分析の手法を応用して
人々の経済行動や金融市場の変動などを解明しようとしてきました。
ヒューマンの経済学です。
2002年のダニエル・カーネマン(プリンストン大学名誉教授)、
2013年のロバート・シラー(イェール大学教授)
そして、今年のセイラー博士の受賞とつながります。
行動経済学が、経済学を本当の意味での経世済民の学に進化させていくことを
予感させてくれます。
本題のナッジに話を移しましょう。
ナッジとは、「人をひじで軽く押したりつついたりすること」なのだそうです。
何だか、さっぱり分かりませんね。
もう少し解説しましょう。
「選択肢をうまく設計・配置することによって、
人の背中を押すように、
人々に適切な選択をさせることやその手法を指す」とされています。
私は慣れない寿司屋に行く場合、
大将のおまかせで注文します。
それが最もコストパフォーマンスが髙いということを知っているからです。
そこに、ナッジがあるのです。
良い社会システムというものは、
ヒューマンの性質を熟した上でのナッジ的な設計が成されているのです。
行動経済学のエビデンスによって、
既に多くの社会システムにナッジが組み込まれています。
そして、ヒューマンは、
無意識に自然な形でナッジされ
個人的にも、社会全体においても最適解を選択している状態になるのです。
チーム医療フォーラムのミッションである市民参加型医療は、
ある意味、ナッジといえます。
市民参加型の広義のチーム医療が実現するということは、
それ自体がナッジであり、
それによって市民は自分の命に責任を持ち、
価値ある人生を生きることにつながってきます。
そして、それは社会全体にとっても多大な利得をもたらすはずです。
そう、
チーム医療フォーラムは医療界のNudgeだったのです。
2017年12月27日