『下町ロケット』は、「半沢直樹」で一世を風靡した池井戸潤氏による小説およびシリーズです。
それを原作にテレビドラマ化したものがこの日曜劇場です。
前作の放映は見逃していましたが、
2018/10/14から始まった本作は、ある人に勧められて視聴し始めました。
前作を視ていなかったので、理解できるかなと不安でしたが、
全くの杞憂でした(皆さん、今からでも遅くないですよ)。
宇宙科学開発機構の研究員だった佃航平氏(阿部寛)が、
死んだ父の経営していた中小企業「佃製作所」の社長となって、
社員たちと共に奮闘する姿を描いています。
主役の阿部チャンが凄くイイ!です。
一流の技術者であり、経営者です。
不屈のバイタリティーとオープン・マインドを持ち、
そして、何よりも人情味溢れる「いい人」なのです。
いろんな面で勉強になります。
このドラマでは、多くの登場人物が人前で涙を流します。
そんなシーンは、現実にはまず経験しませんが、
それぐらい一生懸命に会社を盛り立て、
志を実現しようという姿に感動させられます。
特に、イモトアヤコさんの静かな涙にはジーンときました。
綺麗な涙でした。
彼女のイメージが一新しました。存在感抜群です。
ドラマでは、大企業があまり良いイメージで描かれていません。
組織が大きくなると
スケールメリットで大きなプロジェクトを動かせるのですが、
半面、大切な何かが失われてしまうのでしょう。
人間同士の軋轢や組織の腐敗が徐々に進行していくようです。
また、大企業には中小企業に対するアドバンテージがあるため
その権力を笠に着た横暴も生じやすくなります。
一方、阿部チャン率いる佃製作所は、
良い意味で人間臭い、活きのいい会社です。
モノづくりをこよなく愛する人間たちは、
大切な何かを決して見失いません。
心情の機微が細やかに伝わってきます。
そして、これからの時代は
必ずしも大企業だから良い仕事が出来る訳ではないと思いました。
アイディアと弛まぬ努力によっては、
中小企業でも最先端技術のロケット部品を担えるのです。
科学技術の進歩は、
規模の経済を凌駕する環境や条件を既に整えているのです。
人々の暮らしにとって本当に大切なものは、
心情の機微の分かる組織や会社にしか造り出せないのかもしれません。
私は今、縁あって小規模病院に勤務しています。
医療の進歩に寄与したいとの想いはいささかも衰えていませんが、
大学病院などの先進医療の最前線にいないと
大きな貢献は出来ないと諦めていた節も正直あります。
このドラマを通して、認識を変えました。
冒頭で、ある人に勧められてドラマを視るようになったと書きました。
その人は、殿村経理部長の父親役の山本學さんです。
山本さんとはご縁がありまして、
当院で月1回 開いている勉強会:WAVES 市民アカデミーに何度もご参加いただきました。
山本學さんといえば、
田宮二郎さんの遺作となった『白い巨塔』の里見脩二 助教授役が印象深く、
その里見医師は、ある意味、医師たちの理想像となっています。
今回、私は、山本さんとのご縁によって、
一つの気づきを得ました。
小規模病院でも創意工夫と一心不乱の努力によって、
世の中の為になる最先端の医療を展開できると確信しました。
俄然、勇気が湧いてきました。
2018年11月7日