119. 書評『成長が「速い人」「遅い人」』

社会医療人の星

今回は、8月24日に発売されたばかりの

『成長が「速い人」「遅い人」』に迫ってみます。

著者と私の共通の恩師である田坂広志氏は

代表的著作『仕事の思想』の中で

仕事の真の報酬は「決して失われることのない成長」であると説いています。

106. 賢人 田坂広志 その弐 『仕事の思想』
当メルマガ100回目の記念号で田坂広志氏を紹介しました。 田坂氏を敬愛する人は多いでしょう。 その中の多...

誰にとっても大切な

この「成長」という万人共通のテーマを前面に打ち出している点に

まず、度肝を抜かれました。

まさに直球、ド・ストライクという感じです。

著者はOD(組織開発)理論を駆使する一流のコンサルタントであり(実践者)、

かつ大学教授という研究者、教育者の面も持ち合わせています。

その上で、

志を持った人々を、大学から社会へ。

企業から社会へ。

日本社会から世界へ。

世の中へと、自らも変革し、変化する人を育てて、世に送り出す。

そして、日本をより良く変える(p.36)といいます。

その現在の姿を見れば、「成長の速い人」という印象を持ってしまいますが、

本書では、その著者が自らを「成長の遅い人」として

その成長の変遷を心情面も含めて詳らかにしていきます。

そして、どのようにして今の「成長の速い人」変わることができたのかを明らかにしています。

特に、挫折経験を乗り越えて、自身の真の使命感に目覚めていくくだりは

多くの人の参考になると思います。

私もそのような体験をしましたから、著者に強く共感しました。

本文中の知恵に満ちた、珠玉の言葉を抜粋しましょう。

  • あなたの気になる「社会課題」を見つけ、「没頭エネルギー」を育み、その解決へあなたの「職業の仕事」に結びつけてみる。p36
  • 成長が遅いと感じるからこそ、速くなるための「工夫」を考えることができるのです。p38
  • 「感じる」を「考える」より先にする。p47
  • 自分の感じることや、自らがしたいことだけは、誰にも「真似ができない世界」なのです。p48
  • 「リサーチ、リサーチ、ノーアクション病」p61
  • 試す「実験の量」が、成長スピードに良い影響を与えます。p68
  • 「決めて、解決する人」を、著者は「責任者」と呼びます。p79
  • 自分が自分を磨く修業と、師匠から直伝で直接、学び、自らを磨く修業、のふたつがあります。p109
  • 「何も教えてくれない病」p118
  • 「一流のプロは、気を緩めず、闘い続けられる」p126
  • 知をインプットする時は、積極的に「教わる」を先に使うということです。そしてアウトプットした時に「学ぶ」を使うことで、成果を変える「学び方」ができます。p127
  • 掴んだ智恵を、眼に刻み、心に遺す。p131
  • 口数から足数へ。足数から耳数へ。p140
  • 脳味噌から湯気が出るほど考える。p148
  • 迷ったら、やる。p150
  • 「調べられない知」p155
  • 一言で言えば、「体得」です。p158
  • 「情熱は、持ちたくても、持てない人には持てない」p165
  • 挫折体験から得られる最高の贈り物がある。p168
  • 「日本の結束力は世界を変える力になる」p171
  • 「これから、お互いを支え合う、バインディング・ペアになる!」p180
  • 自分自身が「謙虚な仮設」を持って、試し続けない限り、今の状況は良くならない。p200
  • 自分の気づき方を、変える。p201
  • 自ら機会をつくり、自ら決めて、動き始める。p204

達人であれば、上記を見ただけで深く頷かれるに違いありません。

中でも、「迷ったら、やる」が私には刺さりました。

やはり私は、p.184の七つの役割うちの「突破」が使命なのでしょう。

表4(裏表紙)の飛躍の7力(ななりき)の図には

相当なこだわりがありそうです。

時に、下って上るステップにリアリティを感じます。

『成長が「速い人」「遅い人」』

本書には、成長が「速い人」になるための智恵が満載です。

著者が全身全霊で、わかりやすく、そのツボを説いてくれています。

深読みすればするほど、身を削って書いた文章であることが伝わってきます。

そもそも人の成長は個別性が有り千差万別です。

よってそれを導く手法は、ある意味、個別解であり特殊解であるはずです。

それを普遍解にまで見事に昇華させている点は、著者の類い稀なる力量の故でしょう。

しかしながら、成長が「遅い人」に限って、

本書を手に取る機会が少ないような気がします(だから成長出来ない。勿体ない)。

私を含めた、成長が「遅い人」こそ

本書に伴走してもらうことで、

成長が「速い人」を超えて

成長が「深い人」になれるのだと思います。