101. 書評『地域医療と暮らしのゆくえ』

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社会医療人の星

在宅医療の若きリーダー 佐々木淳先生が主催する在宅医療カレッジで、

高山義浩沖縄中部病院感染症内科・地域ケア科医長の御講演を拝聴してきました。

久しぶりに魂を揺さぶられたため、急遽、御著書も拝読することにしました。

深い問いを投げかけられたように思います。

今週は、『地域医療と暮らしのゆくえ』の書評を中心に書いてみます。

社会医療人の星

2018年4月20日

実は、高山先生には、以前、チーム医療フォーラムの季刊誌「ツ・ナ・ガ・ル」に

ご寄稿いただいています。

御講演を拝聴して、印象が一気に変わりました。

この人は、日本版チェ・ゲバラだと感じました。

あるいは、現代版ゲバラなのかもしれません。

ゲバラには大胆な革命家の精神と

戦地にあっても患者を診る繊細な魂が同居していました。

それは奇跡的なバランスです。

ゲバラについては、こちらをどうぞ。

73.映画『エルネスト』論考
映画『エルネスト』が封切りとなりました。 チェ・ゲバラが同志としてその名を託した日系人 フレディ前村の短い生涯の物語です。 オダ...

『地域医療と暮らしのゆくえ』を拝読して

最初に驚かされたのは、現状分析の鋭さです。

冷静沈着な着眼には、良き医療をつくろうという強い意志力を感じます。

「施策」のコーナーには医療改革のためのたくさんのヒントが散りばめられています。

特に、第2章6「在宅医療」をめぐる4つの誤解は大変勉強になりました。

コラムは、読者の魂を揺さぶるエピソードに溢れています。

生きる喜び、生きる悲しみを追体験することでしょう。

それにしても、卓越した文章力には感服しました。

それもそのはず、東大医学部保健学科卒業後に

一時期、ジャーナリストとして活躍されています。

  • システムから心のこもったカルチャーへ
  • カルチャーとしてのヘルスケア
  • 相性のよい患者さんでの成功体験が自分を強くする
  • 病院が診療所と連携して在宅医療をしっかりやってくれるからと住民が寄りかかってくるようでは、在宅医療は生活を病院化するトロイの木馬になりかねません。
  • 持ち込まれた専門性は、生活におけるストレスを増加させ、それにより医療への依存を高め、家計と余暇を奪い、不健康を再生産していくかもしれません。
  • 「死」とは肉体による「いのち」の排泄行為であり、あるいは黄泉における「いのち」の出産行為といえます。
  • 「ひとりでそっと死にたい」「死にゆく姿をさらしたくない」
  • 「真理は2つの中心をもった楕円である」
  • 真理というのは2つの(ときにいくつもの)中心をもっているものです。真円だと考えると不条理なことも、楕円だと思えば納得がゆくのです。

つくづく、頭の良い方だと思います。

これらの情緒と含蓄のある文章に

「医者にしておくには勿体無い」と感じてしまいます。

目の前の出来事を深い洞察で切り取りながら、

見事なまでに言語化出来る才能には惚れ惚れします。

さらに、情緒豊かな洗練された文章に表現するという

卓越した能力をもお持ちです。

講演終了後、高山先生に思い切って質問してみました。

「日本の将来(特に医療)について、先生は楽観論者ですか?

あるいは、悲観論者ですか?」

学生時代、ジャーナリスト時代、更に医師になられてからも

世界中の紛争地、貧困地を旅し、

そこで生活する人々の喜び、悲しみ、時に不条理を共に体験してきた人であり、

さらに厚生省医官として、国全体を透徹してきた人の目に

将来の日本はどのように映っているのかが知りたくて仕方がありませんでした。

果たして、その答えは、

「悲観論者!」 でした。

敢えて、現実世界を楽観視することなく、

悲観論に立つことで、日々の活動の原動力にされているそうです。

高山先生に言わせると、

日本の医療を取り巻く環境、情勢は相当に厳しいということです。

世界中の紛争地、貧困地の厳しい現実を一次情報として体験されている人の目には

リアルに将来の日本が見えているのでしょう。

世界中を旅した体験が、深く本質的な問いと視座をもたらすのでしょう。

若月俊一先生のような卓越した存在になっていかれるに違いありません。

現代日本版ゲバラの

これからの活躍を追いかけたいと思います。

最後に高山先生とのツーショット

これからも、ご指導を宜しくお願いします。