著者の稲盛和夫氏は、京セラとKDDIという2つの世界的大企業を立ち上げ、
奇跡とも言うべきJAL(日本航空)再建を果たした名経営者です。
松下幸之助氏と並び称される当代随一の人物です。
稲盛哲学の集大成との記載もあったため
早速、Amazonで予約しましたが、
届くまでに数日を要しました。
発売とともに予約が殺到したためだと思われます。
(現在は、スムーズに購入できると思いますのでご安心ください。)
まず、タイトルが良いです。
何と、「こころ」に「マル」です。
簡潔明瞭! 稲盛さんの潔さが伝わってきます。
書籍が醸し出す雰囲気も静謐そのものです。
風格すら漂っています。
「いくら努力をして苦労を重ねても、いっこうに人生がよくならないと嘆く人がいたら、まずは自らの内面に目を向けて、正しい心をもっているかどうかを問い直さなければなりません。」
「義を見てせざるは勇なきなり」
「―新しき計画の成就は、ただ不撓不屈の一心にあり。さらばひたむきにただ想え、気高く、強く、一筋に―」(JAL会長就任時の社員へのメッセージ)
「『なんまん、なんまん、ありがとう』 この言葉を心に埋め込んでいただいたことは、私の人生にとって大きな財産になりました。」
「謙虚さとはお守りである」
「けがれた人間が敗北を恐れて踏み込もうとしない場所にも、清らかな人間は平気で足を踏み入れ、いとも簡単に勝利を手にしてしまうことが少なくありません」
「むさぼろうとはしない」
「岩をもうがつ強い意志」
「神のささやき」
「正しいことを貫く“気骨”」
「むしろ正しいことをしているからこそ、私たちは困難に出会うのです」
「信念がすたる」
「損得ではなく、人として正しいかどうかで判断する」
「人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力」
「運命とは、その人の性格の中にある」
「毎日短い時間でもよいので、心を平らかに鎮めるひとときをとること」
「すべては心に始まり、心に終わる」
本文から気になるフレーズを書き出してみました。
人生の達人であれば、
それらを読んだだけで、稲盛さんの深い世界を汲み取れるはずです。
相当に猛々しいフレーズがありますが、
曇りなく、稲盛さんの気骨が伝わってきます。
一方、語り手の中身が伴っていない場合には、
逆にマイナスの想念が受け手に届いてしまうものです。
嘘っぽく伝わってしまうのです。
試しに、ご自身で口に出してみられると良いでしょう。
憚りなく、堂々と言い切れるなら、あなたは本物です。
(白状しますと、私は、まだ力不足のようです。)
第3~5章のタイトルになっている
「強き心で成し遂げる」
「正しきを貫く」
「美しき心根を育てる」
というフレーズが、稲盛さんの心根、真我、魂に刻まれていることを知りました。
私の小学校の校訓が「強く、正しく、美しく」であり、
校歌の錆のフレーズにも使われていたことを思い出しました。
子供心にその教えが染みこんでおり、常々意識してきました。
作詞の松平信子さんは、会津藩主松平容保の六男恒雄氏の夫人です。
作曲は、日本オーケストラのパイオニアと言われる近衛秀麿氏です(近衛文麿の異母弟)。
会津の公立小学校の校歌にしては予想外の豪華布陣ですが、
今さらながら、名曲だと思います。
特に私は、「世界平和の 道のため…」という3番の歌詞が好きです。
純粋な子供時代に、
「強く、正しく、美しく」のフレーズを心に刻んでいただいたことは
稲盛さん同様、私の財産です。
書籍に話題を戻しましょう。
本文には、ひらがなが多数使われています。
それによって、柔和で温かい雰囲気になっています。
文章にも気負いが全く感じられず、自然体そのものです。
稲盛さんがご自身の人生で掴んでこられた真実を
正直に吐露していることがわかります。
エゴが全く感じられません。
「人物だなぁ~」と思うと同時に
この本にもそれを該当させたいと考えました。
「本物だなぁ~」
真心で正対して読めば、
必ず人生の糧になる本だと思います。
2019年7月10日