180. One for all, All for one ラグビーW杯2019に想う

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社会医療人の星

ラグビーワールドカップ2019日本大会における

日本チームの活躍には目を見張るものがありました。

日本人でさえ、日本の決勝リーグ進出を予想してい人は少なかったと思います。

順位もさることながら

各試合での戦いぶりに

文字通り日本中が勇気づけられました。

ノーサイドをはじめ

たくさんのラグビー精神は日本精神との親和性が高いと思います。

代表的なラグビー精神である、One for all, All for oneについて考えてみましょう。

全日本ラグビーの元監督の故 平尾誠二氏がその著作の中で、

その意味が世の中では間違えて解釈されていると指摘していました。

「一人は全体(みんな)のために、全体(みんな)は一人のために」というのが一般的な理解でしょう。

しかし、それは大変な間違いなのだそうです。

「一人は全体のために」は正しいのですが、

All for oneの「one」は一人ではなく、ビクトリーを指すのだそうです。

つまり

「一人は全体のために、全体は勝利のために」というのが正しいラグビー精神なのです。

「全体が一人のために」というと「誰も見捨てない」美しい響きとなりますが、

「全体が一人のために」完全に動いてしまったら、厳しい戦いには勝利できないでしょう。

やはり平尾氏の解釈でこそ、しっくりときます。

今日の豊かになった日本では勝利へのこだわりが希薄となり、

「全体は一人のために」というやわらかい解釈が広まるのでしょう。

いざとなれば、全体(国)が自分を助けてくれるという幻想を抱いているのかもしれません。

そのあたりに日本人は安心感を覚えるのでしょうが、

よくよく考えてみれば、そのような組織はすぐにでも存亡の危機に立たされてしまうはずです。

本来、安心とは程遠い組織になってしまいます。

「いのちは地球よりも重い」という言葉にも同様の感覚を持ちます。

「いのち」の当事者の気持ちとしては、そのような心情が湧くことを否定はしません。

個人が「個」のレベルでそう信じ行動する分には、それほど問題にはならないでしょう。

しかし、最近の医療を取り巻く環境では、

「個」を超えて、他人にもこの想いを強要して来る人が増えつつあるようです。

全体が一人の「いのち」のために行動するとしたら大変な事態に陥ってしまいます。

「組織の論理」が過大になれば全体主義に向かうでしょうが、

「個の主張」が強過ぎても様々な問題が生じることになります。

何事も、中庸、バランスが大切なのでしょう。

医療界は、命に直結する分野であるが故に

「いのちは地球よりも重い」という論調に流されやすい面があります。

それは、医療者のみならず、患者や家族、市民の意識にも染みついているような気がします。

モンスターペイシャントは、「All for one」を誤解している人たちと言えるでしょう。

こうした風潮には毅然とした態度で臨み、

人々を幸せにするという真の勝利を目指さなければなりません。

医療は社会にとって貴重な財です。

私たちは医療がコモンズともいうべき「社会的共通資本」であるという認識を

しっかりと持つべきでしょう。

医療者一人ひとりは、医療界全体のために

そして、

医療界は、国民の幸せというビクトリーのために奮闘すべきです。

ラグビー日本代表チームは、その正しい戦い方を

身を以て私たちに教えてくれました。

彼らは、One for all, All for oneの精神を

「ONE TEAM(=ワンチーム)」という言葉に昇華させて

見事なまでに戦い抜きました。

そんな訳で、今年の流行語大賞は

ONE TEAM(=ワンチーム) に決定です!!