53.「元ちゃんハウス」

社会医療人の星

事物の関係には、「競合:competition」と「補完:complement」があると思います。

それらの区別が曖昧であるがゆえに、

関係性が崩れてしまうことが多々あるように感じています。

補完とは、不十分な部分を補って、完全なものにすることです。

パンとジャムのように、それらが単独で存在するよりも

お互いに補うことで価値が増すのです。

本来、「補完」の関係であるのに「競合」と捉えてしまったが故に

失敗してしまう人間関係を数多く目撃してきました。

そして、私は基本的にすべての関係が「補完」であるべきだと信じています。

5月14日に金沢市にある「元ちゃんハウス」に行ってきました。

主は金沢赤十字病院・副院長の西村元一先生です。

西村先生は、病院の外に出て活躍する医療人の先駆けで

一般市民の間でもかなり知られている有名人です。

そもそも西村先生が「元ちゃんハウス」を設立しようと考えられたのも

ご自身が大腸外科の権威であり

多くの患者さんの心に寄り添いたいと考えたからなのだと思います。

そのモデルは、イギリスのマギーズセンターでした。

2016年10月10日オープンのマギーズ東京を知る人も多いでしょう。

西村先生は地元金沢で、

がん患者の心の拠り所となる「マギーのような施設」を設立しようと

長年、NPO法人がんとむきあう会での活動を通して

志を温めておられました。

ある日、西村先生に大転換となる日がやってきました。

ご自身が胃癌を患われたのです。

以来、闘病の傍らその動きは加速するようになりました。

コンセプトもぼんやりとした「マギーのようなもの」から

明確な「元ちゃんハウス」へと進化していきました。

最初は西村先生一人の想いから、

多くの賛同者が集まるようになりました。

そして、ついに「元ちゃんハウス」オープンにこぎつけたのです。

西村先生に4Fのセミナールームや3Fのサロンルーム、1F のコミュニティルーム、

さらに各調度品について説明してもらいました。

一つひとつに物語があり、

深い想いによって作り込まれているという印象を持ちました。

すべてが丁寧に扱われ、存在感を持って配置されているのです。

金沢の5月の風が爽やかに駆け抜け

癒しの空間をさらに心地よい場所に昇華させていました。

元ちゃんハウス

さて、「マギーズセンター」や「元ちゃんハウス」は、

本当に必要なのという声があります。

病院の中に、

時間をかけて対話したりカウンセリングを受けられたりする場所を作ればよいのでは?

という声も聞かれます。

ここでも、「競合」と「補完」の混同が起きているような気がします。

本来「補完」し合うべきものが

「競合」関係に誤解されてしまっているのです。

病院におけるがん治療は、

「マギーズセンター」や「元ちゃんハウス」によって補完されることで

さらに進化していくのだと思います。

医療の発展や人生の意味を高めるための素晴らしい社会装置となっていくことでしょう。

元ちゃんハウスの空間を体験したことで

そう確信しました。

西村先生、素晴らしい“外的足場”をありがとうございます。

元ちゃんハウス

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