57.「BABEL展」

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社会医療人の星

2017年4月18日(火)~7月2日 (日)の期間、

東京・上野の東京都美術館で開催されているボイマンス美術館所蔵

ブリューゲル「バベルの塔」展16世紀ネーデルラントの至宝 ― ボスを超えて ―

に行ってきました。

関西の方は、大坂の国立国際美術館(2017年7月18日(火)~ 10月15日(日))開催をお楽しみに…。

「24年ぶりの奇跡の来日」というフレーズにつられて行きましたが、

良い意味で期待を裏切られました。

ブリューゲルの「バベルの塔」の1点の作品を紹介するためだけに

展覧会自体は演出されていたといえます。

会場を出ると外には灯籠のようなオブジェが点々と置かれていたのですが、

よく見ると、それは「バベルの塔」ではありませんか!

予想外の演出に感動しました。

さて、バベルの塔に関して、その出典となる旧約聖書を紐解いてみましょう。

全ての地は、同じ言葉と同じ言語を用いていた。東の方から移動した人々は、シンアルの地の平原に至り、そこに住みついた。そして、「さあ、煉瓦を作ろう。火で焼こう」と言い合った。彼らは石の代わりに煉瓦を、漆喰の代わりにアスファルトを用いた。そして、言った、「さあ、我々の街と塔を作ろう。塔の先が天に届くほどの。あらゆる地に散って、消え去ることのないように、我々の為に名をあげよう」。主は、人の子らが作ろうとしていた街と塔とを見ようとしてお下りになり、そして仰せられた、「なるほど、彼らは一つの民で、同じ言葉を話している。この業は彼らの行いの始まりだが、おそらくこのこともやり遂げられないこともあるまい。それなら、我々は下って、彼らの言葉を乱してやろう。彼らが互いに相手の言葉を理解できなくなるように」。主はそこから全ての地に人を散らされたので。彼らは街づくりを取りやめた。その為に、この街はバベルと名付けられた。主がそこで、全地の言葉を乱し、そこから人を全地に散らされたからである。

— 「創世記」11章1-9節

功名心に駆られた思い上がった人間への

神からの警句が主題となっています。

ブラッドピット、菊地凛子出演で話題となった映画『BABEL』も

理解し合うことの難しい人間存在がテーマになっています

作者のブリューゲルは、本作の5年前の1563年に最初のバベルの塔を描いています。

今回来日した1568年版の4倍ほどの大きさです。

バベルの塔 第1バージョン(1563)

ザイズは1/4になったものの

その微細な表現と存在感は圧倒的です。

私は、1568年バージョンが断然好きです。

このバベルの塔は、人間同士の言葉が通じなくなったことで

崩壊していくのでしょうか?

その圧倒的な存在感から、どうしても

そのようには見えないのです。

私には、建設途中のように見えてしまうのです。

ピーテル・ブリューゲル
Pieter Bruegel(1525?-1569)

この精密画ともいえる作品を目にした時、

ブリューゲルの旧約聖書の意味を超えた挑戦心を感じました。

一時的に言葉が通じなくなって建設が中断したとしても、

それでも人間は、建設し続けるのだという強いメッセージを受け取りました。

それほど、人間の営みは着実で、永続的なのだと思います。

合理的進歩主義者を自認する私としては、

この「バベルの塔」の絵をPCの背景画にすることにしました。

この絵を崩壊と見るのか、再生と見るのか

その解釈で、生き方が問われているのだと思います。

俄然、やる気が湧いてきたぞー。