12.「退院後の暮らしをイメージできるって、なんやろうか?」

おうちへ帰ろう 宇都宮宏子

病院ナースを対象とした「退院支援の伝道師」から、

市町村レベルの「在宅療養移行支援の伝道師」へと、活動が広がってきたなあ。

30年までに各市町村で取り組む「在宅医療介護連携推進事業」で、

「入院時連携・退院支援のルール作り」や

「ACP(アドバンス・ケア・プランニング)・意思決定支援」の研修会や事例検討会、

ルール作りのアドバイザーとして関わらせて頂く機会が増えてきた。

これがとっても楽しいのです。

それぞれの地域で企画者側と電話やメールでやり取りをしたり、

必要であれば打ち合わせにも足を運んで、

議論したりする時間がワクワクする。

地域毎の取り組みや文化の違いもありますが、

地域格差が大きいので、現状を把握して到達点を共有したり、

先駆的に取り組んできた方とお話しをしたりと、

他の地域でも活かせたり、少しの工夫で全国でもできる方法へ発展したりできます。

そんな活動の中で、最近考えてる事、紹介しますね。

病院ナースに対して(もちろん医師も)、「退院後の生活をイメージできない」とか、

「在宅のことがわかっていない」…、日本全国で共通に聞かれる評価です。

そんな時、わたしは「退院後の生活のイメージ」や「在宅のこと」って何? と聞き返します。

これは「チームで行う退院支援で病棟ナースに何を求めるか」ということだから

“さらっと”聞き流してはアカンのです。

在宅支援チームと医療機関チーム、お互いに腹割って話し合って、

「こうありたい姿」を共有していきましょうよ。

この部分、二つの事があるよね、お話します。

一つは、患者が治らない病気を持ちながら生活する上で、

「看護師として気になる事は何か」という視点を持って、

患者・家族と共に院内医療チームで退院後の生活・暮らしを考えること。

急性期病床や、高度で複雑な医療を提供をする病院になるほど、

「今やるべきこと」が優先され、

勤務交代で働くナースが「今」から24時間、1週間、1年という時間軸で、

患者の生活を考えることは難しい。

個別のナースが考えていてもナースチームとして機能できているか?

例えば、ナースが電子カルテをみて、排便マイナス3日目、

今夜は緩下剤を内服してもらって、

それでも出んかったら明日は浣腸してねと申し送りします。

じゃ、退院後はどうするの? 食事や水分や活動性はどうなん?

「何日、うんこ出てないな、そろそろ薬飲まんとなぁ」って、誰が気づいてケアするの?

病棟でやっている医療やケアを、24時間・〇日毎、1週間単位に落とし込み、

患者本人でできる方法はないか。

サポートできるインフォーマルな支援者はいないか?

毎週、各病棟で開催している「退院支援カンファレンス(名称はいろいろ)」で、

この部分を退院支援ナースが投げかけながら、退院後の暮らしを想像し、創造する事がカギ!

二つ目は、在宅医療やケアサポートを組み立てること。

いわゆる「在宅療養コーディネート」。

退院支援看護師やMSWは病院医療者の中で、地域の状況が見えている、制度が理解ができる。

そうした在宅療養コーディネートをできるものが、

タイムリーに相談に乗って対応できる仕掛けを作ればいい。

高齢者の患者が多い病棟や病院では、

既に在宅支援チームが付いている患者の入院割合も高くなってきている。

外来や入院決定時に、おうちでの暮らしぶりを知るなかで、

在宅サービス利用状況についても尋ねる。

すでにケアマネジャ―がいたり、訪問看護が入っていたりする場合は、

患者・家族と信頼関係のある在宅支援チームと早期に連絡を取り合い、

在宅療養への移行を一緒に考えていく事が大事です。

先ほどの「退院支援カンファレンス」に、

「在宅療養コーディネーター」が参加する事が義務付けられたわけだから、

制度や資源への調整が早期から可能になる(はず)。

入院環境は非日常です。

生活する場所にはなりえない。

特に認知機能低下がある方や、リロケーションダメージを受けやすい高齢者にとって、

「入院した途端に困った人」になるんやけど、違うよね。

「困っている人」なんだよね。

「わたしやったら」、「私の大事なひとやったら」と思ったら、

見えてくる事あるんやないかな。

そして、連携が進化している地域では、

「その入院、回避できなかったかな?」、

「生活の場、なじみの場に医療やケアが集中的に提供できる方法はないかな?」

という思いへ発展している。

在宅療養を継続するために、わが町で何ができるか、みんなで考えていきませんか?