NHKの海外ドラマ『戦争と平和』が熱い!
日曜夜、11時からの放送で、全8回のうち、10/23で5回が終了しました。
イギリスBBCが2年半をかけて制作した超大型歴史ドラマです。
後述するポール・ダノやリリー・ジェームズ(実写版『シンデレラ』主演女優)、
凛々しいジェームス・ノートンなど注目の若手俳優が共演しています。
世界遺産・エカテリーナ宮殿でのロケや豪華な衣装もお見事です。
観ていなかった方でも、これからのクライマクスを楽しむのも悪くはないと思いますよ。
(その際には、これまでのあらすじをお読みください。)
原作はもちろん、ロシアの文豪トルストイの「戦争と平和」です。
オードリー・ヘプバーンがナターシャを演じた映画で知る人も多いかもしれません。
200年以上前の、日本から遠いロシアの物語でありながら、
私たちが共感を持つのは、トルストイの人間力のなせる技なのでしょう。
高校時代の私は、この「戦争と平和」に出会い、
登場人物の複雑さに頭が混乱気味でしたが、
アンドレイ、ピエール、ナターシャの3人に強烈な印象を持ちました。
そして、アンドレイ的生き方に強く共感しました。
正義を貫こうとする生き方に震えました。
今回、英国の新進気鋭の俳優 ジェームス・ノートンが好演しています。
高校時代に私がイメージしていたアンドレイそのものです。
多くの人は『戦争と平和』は恋愛小説と捉えているでしょう。
私は違うと思います。
ナポレオン戦争下のロシアが舞台ですが、
それはある意味、極限状態です。
そこに、金も地位も、そして若さも持ち合わせた人間が
どんな問題意識を抱き、どんな苦悩を背負い、
何に希望を見出しながら生きていくのかが描かれています。
これから先のどんな時代の
どんな国の人間においても普遍的なテーマなのだと思います。
アンドレイは正義に生きた末に戦争の負傷がもとで命を落とすことになります。
その最期をナターシャが看取ったことが私にとっては大きな救いでした。
ナターシャは、あらゆる苦悩を解消してしまう太陽のような存在です。
ここに私は、トルストイの優しさや人間観を感じるのです。
ここで、人間味あふれるピエールに触れておきましょう。
ピエールは最初、酒飲みの冴えない青年でしたが、
思いがけず父の遺産を受け継ぎ
ベズーホフ伯爵となってからは、より善良な人間に成長していきます。
人生において、役割や使命感が人をつくっていくということを思わずにはいられません。
そのピエールを米国の俳優 ポール・ダノが演じ、異彩を放っています。
私がポール・ダノを知ったのは、
ロバート・デ・ニーロ主演の映画『エグザイル』でした。
彼の繊細な息子役を見事な存在感で演じていました。
『戦争と平和』には、先の3人以外にも様々な人間が登場し、
この世に存在するすべての人間像が描かれているような気がします。
それでも、登場人物の中で誰が一番好きかと問われたら
殆どの人が、この3人のうちの誰かを答えるのではないでしょうか?
これまでの私は完全にアンドレイ派でした。
しかし、高校時代よりは少しなりとも人生を味わってきたつもりです。
残りの3話で、ポール・ダノが演じるピエールを観た際には、
すっかりピエール派に鞍替えしてしまうこともあるかもしれません。
さて、あなたはアンドレイ派? ピエール派?
それとも、ナターシャ派??