49.「ベーシックインカム」

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ベーシックインカムをご存知ですか?

ベーシックインカム(basic income)とは最低限所得保障の一種で、

政府がすべての国民に対して

最低限の生活を送るのに必要とされている額の現金を

無条件で定期的に支給するという構想です。

18世紀末、社会思想家トマス・ペインによって提唱されといわれています。

昨年(2016年)6月にスイスで国民投票が行われたことで、

ヨーロッパを中心に議論が活発化しています。
その火付け役は、エノ・シュミットさんです。

エノ・シュミット

【プロフィール】
1958 年、西ドイツのオスナブリュック生まれ。
1990 年、他のアーティストや起業家と共に、エンタープライズ・アート&エコノミーを設立、経営責任者。
2006 年、ダニエル・ハニと共にスイスにベーシックインカム・イニシアチブを設立。
2008 年、映画「ベーシック・インカムーカルチュラル・インパルス」を発表、視聴者は現在200万人にのぼる。
2012 年、ベーシックインカム・イニシアチブは、スイス国民のすべてに無条件ベーシックインカムを導入するための国民イニシアチブを開始。

シュミットさんは、4年前に

ベーシックインカムの導入を求める署名活動を始めたといいます。

12万人を超える署名を集めたことで、昨年6月の国民投票に結びついたという訳です。

シュミットさんの提言では、成人1人当たり毎月およそ30万円、

未成年には7万円を支給することが可能だそうです。

そして、「ベーシックインカムは基本的人権と同じように、

人間の生きるための基本的なことなんだ」と主張しています。

 写真(NHKクローズアップ現代+  No.37822016年3月15日(火)放送 “仕事がない世界”がやってくる!?”  http://www.nhk.or.jp/gendai/articles/3782/1.html)


写真(NHKクローズアップ現代+ 
No.37822016年3月15日(火)放送 “仕事がない世界”がやってくる!?”

気になる国民投票の結果ですが、

有権者の26%、ほぼ4 分の1が導入を支持したそうです。

この数字を低いと考えてはいけません。

シュミットさんにとって、この数字は予想以上だったそうで、

次の国民投票で過半数につながる可能性が高まったと話していました。

社会医療人の星

続きがあります。

何と! 今年の1月1日、フィンランドでは

限定的ではありますが、ベーシックインカムの試験導入が行われました。

以下はNewsweekの記事からの引用です。

1月1日、フィンランドがベーシック・インカム制度を導入した。2000人の失業者に対して月に560€(日本円にして約6万8000円)を支払うというもので、国家レベルでははじめて。現代の社会福祉のあらたな可能性としてにわかに脚光を集めている

1月1日、フィンランドがベーシック・インカム制度を導入した。2000人の失業者に対して月に560€(日本円にして約6万8000円)を支払うというもので、国家レベルでははじめて。現代の社会福祉のあらたな可能性としてにわかに脚光を集めている

2017年1月1日、フィンランドが国家レベルでは欧州ではじめて試験的なベーシックインカムの導入を開始した。このプロジェクトでは、1月から2018年12月まで、無作為に選出された2000人の失業者に対して月に560€(日本円にして約6万8000円)を支払うというもの。2年間の実験で、ベーシックインカムの導入が失業率の低下に影響をもたらすのかを調べるのだという。

初めて、ベーシックインカムの話を聞いた人には

夢物語と感じられた方も多いでしょう。

しかし、決してそうではないのです。

ここ数十年の間に、今ある仕事の半分が無くなっているであろう

という話をご存知でしょうか?

AIやロボットが人間に替わって仕事をこなしてしまう時代が

すぐそこまで来ているといいます。

この時代背景があってはじめて、

ベーシックインカムが現実味を持って語られるようになっているのです。

400年ぐらいの資本主義の流れを大きく見た場合、

1600年ごろに東インド会社が誕生し、資本主義の勃興期を迎えたわけですが、

困窮した人々を救済する制度として

「生活保護」に当たる制度が出来ました。

その後、産業革命が起こって、より世界の富が蓄積され、

国家形態が確固たるものになっていく中で、

「社会保険」という形が生まれました。

さらに世界大恐慌が起こると、

ケインズ経済によって政府が公共事業とか社会保障を拡充して

雇用そのものを作っていくという流れが生まれました。

より積極的な形で公的部門が介入して、

資本主義を修正しながら社会は進歩してきたのだと思います。

そして今、ITやAI技術による大きな変革が訪れているのです。

この変革を現状のまま迎えれば、

失業者が街中に溢れ、

現在、富と権力を有する者のみが栄えることになるでしょう。

社会における格差が桁違いに拡大するのだと思います。

それに歯止めをかけなければなりません。

その有効打がベーシックインカムの導入ではないかと考えます。

富の配分を一変させ、

貨幣とは手段に過ぎないと私たちに知らしめてくれるはずです。

AIやロボットが人間に替わって殆どの仕事をしてくれる

素晴らしい時代が必ず到来すると想定した場合、

ベーシックインカムの導入は可能であり、

人類史が前史の時代を終えることになるのだろうと思います。

人類史が前史の時代を終えるとは、

人間が本来の人間性を発揮できる素晴らしい世界を実現していくということです。

さて、資本主義のあり方を根本から覆すような活動を世界的に展開している

シュミットさんに話を戻しましょう。

このシュミットさんの背景がアーティストであることに私は注目しています。

経済学者や政治家ではないところが、スゴイと思います。

お話を伺っていて感じたのですが、

熱い情熱と非常にしなやかな感性を持たれている方でした。

やはり、これからの時代を変えていくのは、

しなやかで、なめらかな感性なのでしょう。

そんな確信を持ちました。

興味を持たれた方は、シュミットさんの映画を御覧ください。

映画「ベーシック・インカムーカルチュラル・インパルス」

イベント終了後、エノ・シュミットさんを囲んで

イベント終了後、エノ・シュミットさんを囲んで