55.『心の先史時代』に学ぶ

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社会医療人の星

ネアンデルタール人(ホモ・ネアンデルターレンシス)が、

われわれ現生人類(ホモ・サピエンス・サピエンス)よりも

脳容積で上回っていたのをご存知でしょうか?

そのネアンデルタール人は約3万年前に絶滅しています。

ヒトの特性が知性にあり、その知性の故にサバイバルしてきたことから考えると

ネアンデルタール人が滅びなければならなかった理由が説明できません。

今回は、その疑問に答えてくれる書籍を紹介します。

人類の進化は、

500~400万年前に現れたアウストラロピテクスとよばれる猿人に始まります。

直立2足歩行をするようになった初めての生物でしたが、

150万年目には姿を消してしまいました。

その後、ホモ属の240~140万年前にホモ・ハビリス(器用な人)が誕生し、

180~60万年前にホモ・エルガスター(働く人)/ホモ・エレクトゥス、

80~30万年前にホモ・ハイデルベルゲンシス、

25~3万年前にホモ・ネアンデルターレンシスが生息していました。

われわれ現生人類であるホモ・サピエンスは約19万年前に現れ、今日に至っています。

約5万年前までのヒトとチンパンジーの遺跡には、特に違いは無いそうです。

他の動物と同様に死んだそのまま放置されていただけと考えられています。

しかしながら、その後の遺跡には埋葬品などが有り、

その時期にヒトの意識に何らかの変化があったことが予想されています。

儀式的埋葬のみならず、芸術や装飾の痕跡も認められるようになりました。

ものの交換も始まったと考えられています。

骨格形態には特に変化が無かったことから、

身体的な変化によってではなく、

脳内の何らかの変化が原因と思われます。

進化心理学と、認知考古学の最新の研究結果からは、

行動様式や意識の認知的パターンに変化があったと考えられています。

「意識のビックバン」と呼ばれたりしています。

スティーブン・ミズンによれば、

人間の脳は「一般知能」「技術的知能」「言語的機能」「社会的知能」「博物的知能」の各モジュールに分かれており、

ある時期までそれらは繋がっていなかったそうです。

知能の進化は、まず一般知能があり,

その次に5つの領域に特化した知能がこの周りに現れて存在するといいます。

第1期の一般知能だけの段階というのは,

600万年前(アウストラロピテクス)からホモ・ハビリスが登場する直前まで、

第2期はホモ・ハビリスからホモ・ネアンデルターレンシスあたりまでで

それぞれのモジュールは繋がっていませんでした。

第3期になるとそれぞれのモジュールが繋がって、

複合的、複雑な知性が誕生したそうです。

それがホモ・サピエンスの登場から現代までとなります。

左から第1期、第2期、第3期

ネアンデルタール人が滅びた理由には諸説ありますが、

脳容積を比較すると、ホモ・サピエンスが1500cc弱であるのに対し、

ネアンデルタール人は1600ccあったといわれます。

人類の特徴として知能を挙げることが多いのですが、

脳容積だけで見るならばネアンデルタール人が、

現生人類に替わって生き残ってもおかしくはなかったのです。

しかし、実際にはネアンデルタール人は滅びてしまいました。

左1500cc     :    右 1600cc

先の5万年前の「意識のビックバン」

ネアンデルタール人には起きずに

ホモ・サピエンスだけに起きたのではないかと考えられています。

脳の中が繋がったことは人類歴史上の大転換だったのです。

農業の発明は1万年前といわれますが、

農業に取り組むには、植物に対する「博物的知能」のみならず、

農器具に対する「技術的知能」が必要となります。

また、農業は集団での共同作業でもあることから、

「社会的知能」も欠かせません。

脳内のモジュールが繋がることがいかに重要であるか

ご理解いただけるでしょうか?

「ツ・ナ・ガ・ル」ことが大切なのです(←どこかで聞いたことがあるような…)

5万年前に脳内が繋がったことによる、その後の進化を思う時に

私は、今日における新たな人類の進化の可能性を感じるのです。

われわれホモ・サピエンスの個体の脳内で起きたネットワーク形成が

今日、地球規模で起きようとしているからです。

グローバル・ブレイン

インターネットを手にした人類は

更なる大進化を遂げるに違いありません。