100人カイギとは?
街で働く100人を起点に人と人とをゆるやかにつなぎ、
都市のあり方や価値の再発見を目的とするコミュニティです。
2016年1月に港区で始まり、2019年には30地域以上で開催されるまでになっています。
私も、勤務地の松戸市で「松戸市100人カイギ」を運営しています。
当メルマガ154号でも紹介しました。
当日は、全国各地で100人カイギを主催しているスタッフのみならず
ゲスト(プレゼンター)経験者、100人カイギ初心者も多数参加していました。
これから自分の街で開催したいと考えている人の参加も多く、
この活動が自己増殖的に広がっている理由が分かったような気がします。
当日のプログラムは2列で展開され
どのセッションにも工夫が感じられました。
最も興味深かったのは
「コミュニティの終わりを再考する」セッションでした。
モデレーターの小林泰紘さんも
スピーカーの小竹貴子さん、山田博さん、入山章栄さんも
皆さん個性的かつ歯切れのよいトークで一気に引き込まれました。
主題のタイトルを見ても
どのような内容だったかが想像できないと思います。
実は、100人カイギには
ゲストが100人に達したら解散するという決まりがあります。
毎回5人ずつ、計20回で終了することが予め定められているのです。
ある意味、初めから“約束された終わり”がプログラムされていることになります。
この終わりがあることの効用を深掘りしようという企画です。
(こういう企画を考え付く発起人の高嶋さんは流石だと思います。)
実際、私が松戸市で100人カイギを始めようと企画した時、
20回で終了すると定められていることで
かなり気持ちが楽になったことを憶えています。
毎月5人のゲストスピーカーを見つけ出し
5年も10年も続けなければならないとしたら相当にハードルが高くなります。
20回、2年間だけと初めからわかっているので
1回1回の重みも感じながら運営できている点もあります。
2019年11月3日の時点で、
稼働している100人カイギは33箇所あります。
既に港区などは終了していますし、
今稼働している地域も少なくとも2年後には解散してしまうのですが、
既に新規開催も次々と決まっています。
個々の100人カイギはそれぞれに役割を終えていく訳ですが、
新たに生まれる地域があって、
100人カイギ自体はどこかの地域で連綿と続いていくのです。
これって、何かに似ていると思いませんか?
有限の命を定められている私たち生物全般とそっくりだと思います。
100人カイギの解散は、私たちの死と同じようなものなのでしょう。
なるほど、100人カイギが自己増殖的に広がっている理由がやっと分かりました。
私たち生物全般にも死があるのと同じように、
終わりを設定することで生命的な輝きを持てるような気がします。
有限であればこそ、そこに無限の生命力が宿り、持続可能になっていくのかもしれません。
セッションでは、クックパッドのミッション達成後の解散を謳った定款変更の話、
森に新陳代謝があって持続可能性が生まれるのと同様に
会社にも新陳代謝が必要だということ、
また、経営学の側面からティール組織の台頭や株式会社消滅の可能性が語られ
非常にエキサイティングな時間となりました。
機械と生命との違いは、
死が予めプログラムされているかどうかの違いなのだと思います。
組織が活き活きとした生命力を獲得するには、
設計の段階で
終焉(解散)を盛り込んでいるのかに掛かっているのかもしれません。
“死”や“約束された終わり”の効用は、絶大であると直感しました。
2019年11月6日