2018年10月14日(日)、日本科学未来館で
MED Japan 2018を開催しました。
記念すべき10年目のテーマは、「SHIN-SEI」です。
今、個人、組織、社会、国家、世界がそれぞれに複雑な課題を有し、
解決策を見出せぬまま閉塞感が広がっています。
「新しいぶどう酒は新しい革袋に」の聖句のように
私たちは新しいパラダイムを必要としているのだと思います。
そんな想いを「SHIN-SEI」(新生)のテーマに託し、
特別講演のテーマにも尊敬して止まない田坂広志氏に
「生命論パラダイムの時代
− 21世紀、人類の文明は、どこに向かうか −」をお話しいただきました。
「今の時代、いのちがいのちとして扱われていない」という指摘から講演が始まりました。
そして、そのいのちは、人間や生物のみならず、
家庭、職場、地域、社会そのものにも宿るという視点が語られました。
いのちとは何か?
G.ベイトソンの言葉「複雑なものには、生命が宿る」から、
システムが「複雑性」を増していくと、「生命的挙動」を示すようになり、
いま、企業や市場や社会が「生命論的なシステム」としての性質を強めていることが説明されました。
そうした状況への対応として、複雑系の科学の重要性が語られました。
その上で、21世紀に人類社会全体に起こる「5つの価値の転換」が挙げられました。
- 無限から有限へ
- 不変から無常へ
- 対立から包摂へ
- 征服から自然(じねん)へ
- 機能から意味へ
私にとって最も印象的だったのは、機能から意味への転換です。
- 機械論パラダイム/物事を「機能」の側面から見る
- 生命論パラダイム/物事の「意味」を考え、感じる
すべての事柄に「意味」を見出すことで
私たちは「新生」出来るのだと確信しました。
意味を問うことで、
人類は多様性や寛容性を身につけることが出来るようになるのだと思います。
当初、MEDがお手本にしたTEDは、
機械論パラダイムの産物といえるでしょう。
一方、MEDは
生命論パラダイムの時代を加速させる社会装置なのだと自負しております。
- 機械論パラダイム/TED
- 生命論パラダイム/MED
そして、多くの分野で、TEDからMEDのような
機械論パラダイムから生命論パラダイムへの移行現象が
次々と現れてくるに違いありません。
特別講演の副題:21世紀、人類の文明は、どこに向かうか
その答えは、生命論パラダイム にあると信じます。
今年のMED Japanには、「使命」のメッセージが通底していたと思います。
田坂氏の特別講演、15名による素晴らしいプレゼンテーションすべてに
「自身のいのちをどう使うのか」という意味での「使命」が表出していました。
私自身は、「いのちの場から社会を良くする」ことを実践し、
「生命論パラダイムの時代」への移行を加速させていく所存です。
2018年10月17日