先日、映画『アポロ11』を観てきました。
今年は、アポロ11号の月面着陸(1969年7月20日)から50年になります。
50周年を記念して制作された本作は、
アメリカ公文書記録管理局(NARA)とNASAにより新たに発掘された11,000時間以上もの未公開の秘蔵映像や音声データが基になっており、
その映像の美しさに圧倒されます。
というのも、当時の貴重な映像素材を特注のスキャナーを使用し
8Kまでの解像度でHDRのスキャニングが可能になったそうです。
50年前の収録が、ここまで鮮明に再生するとは本当に驚きです。
人類史上に燦然と輝く偉業の映像ですので、
誰もがワクワクドキドキすることでしょう。
映画館という舞台設定も加わって、
当時の興奮を私も味わいました。
新しいスタイルのドキュメンタリー映画ではないかと思いました。
さて、月着陸に戻りましょう。
1969年7月20日、ニール・アームストロング船長とバズ・オルドリンは、
月周回軌道上の司令船「コロンビア」から切り離された月着陸船「イーグル」に乗って、
午後4時17分(東部夏時間)に月面着陸に成功しました。
人類初の月面滞在時間は21時間30分間でした。
もう一人の乗組員マイケル・コリンズはといいますと、
2人の月面探査中、「コロンビア」で待機していました。
私が驚かされたのは、アポロ11の一連の工程です。
アポロ11号は、発射ロケット:サターンVの第三段の推力で
月に向かう軌道に乗っています。
宇宙船をサターンVから切り離したあと、3日目に月軌道に入りました。
月着陸は先述しました。
月面探査を終えた2人を再び乗せた「イーグル」が
月周回軌道上の「コロンビア」にドッキングして
2人を回収しました(その後「イーグル」は投棄)。
映画のドッキングシーンを観て、凄いことを考え実行したものだと感嘆しました。
そして、その「コロンビア」を地球へ帰還する軌道に乗せ、
エンジンを噴射して月軌道を離脱し、地球に向かったのです。
3人は約8日間の宇宙飛行を終えて、7月24日に地球に無事帰還したのです。
この数々の段取り、
幾重にもデザインされたシステムとサブシステム等々、
それらのすべてに感嘆しました。
相手は壮大な宇宙です。
その宇宙に対峙する人工物のアポロ11およびそのシステムを見たときに、
ハーバート・サイモン『システムの科学』が頭に浮かびました。
「複雑なシステムが進化する際には、比較的独立のパーツの入れ子構造である方が有利である。」
「たいていの場合、ある特定のシステム(=人工物)が特定の目標あるいは適応を達成するかどうかは、その外部環境(=自然・社会)のごく少数の特性によって決まるのであり、外部環境の細部の特性にはなんら関係がない」
明らかに、50年前の人類初の月着陸は
人類史に遺る偉大なる事業です。
宇宙開発の手応えを万民に伝えることのできる偉業です。
未来の人々にも希望を与え続けることでしょう。
まさに“外的足場”であり、
これを足場にした宇宙開発は、現在、
「きぼう」/国際宇宙ステーション(ISS)での地球外居住を可能にしています。
将来は、火星移住も可能になるのかもしれません。
最後に、アームストロング船長の名言を記して結びとしましょう。
一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては大きな飛躍である
That’s one small step for [a] man, one giant leap for mankind
こちらはその肉声です。
2019年7月31日